初めての甲子園の第1打席で初安打を記録していた勝児
頭髪が自由な塾高ナインのなかでも、勝児は両サイドを刈り上げたツーブロックで今大会に臨んでいた。そんな息子の晴れ姿を甲子園球場の記者席から応援していた清原氏はこんなコメントを残した。
「ボールに向かっていく姿勢は僕に似ている。僕にないのは、慶應のチームカラーであるエンジョイベースボール。自分たちの時代とはかなり違う」
厳しい上下関係があるなかで、全国制覇を宿命づけられたPLと慶應は同じ野球でもあまりに対極に映るのだろう。その一方で、甲子園という舞台に愛され、劇的な展開を生む勝児のお祭り男ぶりは、やはり父譲りだった。
新2年生となる勝児は1度、留年を経験しており、規定によって高校野球の公式戦に出場できるのは今年の夏が最後だ。
「(甲子園での経験は)父の偉大さを実感できた。夏にもう一度帰ってきて、この悔しさを晴らしたい」
甲子園で負った借りは、甲子園で返すしかない。
※週刊ポスト2023年4月7・14日号