同著によると、鈴木氏がカンヤダ氏に惚れ込んだのは《宮さん(宮崎駿)にそっくりだ》というのが大きな理由のようだ。
「カンヤダさんは打算で動かず、自分に正直で家族思い。“カンヤダさんはワガママだ”と言う人もいますが、どんなときもその瞬間の自分の気持ちを優先するところが鈴木さんにはむしろ好印象だったようです」(前出・鈴木氏の知人)
『南の国のカンヤダ』で、鈴木氏はこのようにもつづっていた。
〈カンヤダは、過去を悔やまず、未来を憂えない。いつも“今、ここ”を生きている〉
さらに彼女の写真の才能についても称賛している。
〈今、ここで生きているから、自分が体験した記憶を血肉化する能力が高い。そして、カメラを構えるときにも、ある一瞬を切り取る力がある〉
宮崎駿に高畑勲さんという強烈な個性と渡り合ってきた鈴木氏。自分が見込んだ才能に振り回される状況を、今も楽しんでいるのだろう。