かつて掛けられたのと同じ言葉。言い方が難しいが、劣悪な環境でブリーダー業を手掛ける業者や一部の悪質な保護団体は「シノギ」なので何をするかわからないというのが現実だ。筆者は長野県で起きたブリーダーの事件『虐待が日常だったペット絶望工場 1000頭の犬はどこに消えたか』や『ペットショップの「お年玉セール」に違和感 命が叩き売られていいのか』『犬を連れた街頭募金活動にトラブル増 あわれむ前に確認すべきこと』など、いまだ日本の闇とされるペット産業の取材を続けてきたが、匿名の「何者か」に脅されもする。
一部の悪質なブリーダーは無理やり子犬を増やす「パピーミル」(子犬工場)で稼ぎ、一部のペットショップは売れれば構わないと闇雲な仕入れと無責任な販売、そして売れ残りはどこに行くのやらを繰り返し、一部の保護団体は街頭に犬や猫を連れ出して募金詐欺を働く。すべて「一部」のしていることだが、「全部ではない」「一緒にするな」と言ったところでその「一部」がこれまでも告発、逮捕されている現実がある。
譲渡だけが目的ではなく募金のために保護
「保護した犬を「しつけ」の名目で虐待する団体もあります。棒で殴ったり足で蹴ったり、そんな犬たちを「かわいそう」に仕立てて街頭募金に使うのです」
神奈川県藤沢市にある、悪質な動物保護団体をよく知る元スタッフとボランティア2名に話を伺った。3名いらっしゃるので、仮にAさん、Bさん、Cさんとする。この保護団体は2022年11月、代表が動物愛護法違反で逮捕されている。その際の横浜地検は不起訴としたが、翌2023年3月23日、同地検は改めて同代表を起訴した。
まずAさん、元はその保護団体で働いていた。先の「棒で殴ったり足で蹴ったり」はAさんの証言である。
「募金に使う前提で保護する犬もいます。団体によって保護といってもいろいろで、譲渡だけが目的ではなく募金で使うために保護します。募金に使えそうな犬は手元に置きます」
これは筆者が『犬を連れた街頭募金活動にトラブル増 あわれむ前に確認すべきこと』で書いた通りのことだ。団体は違うが、犬や猫を使った募金活動、街頭募金に関して、すべてではないにせよ「グレーゾーン」どころか「真っ黒」で、今回のように告発や起訴、逮捕に至る現実がある。
「一生募金だけで生涯を過ごします。募金は例えば、2019年の12月に集まった額はひと月で360万円でした」
この団体は年間で2000万円ほどの「募金」が集まっていたという。12月は師走で募金も集めやすいため額が大きいのだろう。