ライフ

駆け出しヤクザの行く末はペットで決まる? 修業先で”姉さん”が飼っていた猫をめぐるトラブル

姉さんは猫を溺愛していた(イメージ、Avalon/時事通信フォト)

姉さんは猫を溺愛していた(イメージ、Avalon/時事通信フォト)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、暴力団事務所で飼っているペットに関する話について。
 * * *
 今は希望する若手が減少していると聞くが、ヤクザ社会には部屋住みという習慣がある。暴力団事務所に寝泊まりし、組長や幹部らの身の回りの世話から掃除、賄いなどすべての雑用をこなさなければならない厳しい修行だ。若手はその中で、ヤクザとしての礼儀作法やイロハを学んでいくことになる。

 部屋住みの仕事は事務所だけに限らない。組長の自宅の掃除や雑用も含まれるのだが、暴力団組織は完全なピラミッド組織だ。トップに君臨する組長には、何を言われても異を唱えることはできず、絶対服従が徹底される。だが組長の自宅には、もう一人君臨している者がいる。組長の妻”姉さん”だ。組員らにとって姉さんも逆らうことができない存在である。

 ではもし、組長や姉さんが犬や猫を飼っていたらどうなるのか。犬や猫を飼っている人、飼ったことのある人なら、ペットを含めた家族の中で序列があるというのはよく聞く話だろう。では部屋住みの組員の順位付けはどうなのだろう。これはその一例である。

 その組の姉さんは、自分が飼っている猫を目の中に入れても痛くないほどかわいがっていた。姉さんにとって組員らは他人でも猫は家族。優先されるのは組員よりも猫。そのため部屋住みの組員は、何をするにも猫に気を使わなければならなかったという。ドアを開ける時は、猫がいないか確認し、窓を開ける時も気をつけた。外へ逃がしてしまえば姉さんに怒られるからだ。

 ある時、組長に頼まれた買い物を済ませて帰って若手組員は、荷物の多さに気を取られ、玄関ドアの隙間から猫を逃がしてしまった。荷物を玄関先にドサッと投げ出し、慌てて追いかける。運よく数メートル先で捕えることができ、ホッとして戻った。荷物を持って部屋に入ると、リビングでテレビを見ていた姉さんが、組員の方を向いて「どうしたん?」ときつい口調で聞いてきた。

「姉さん、すみません」と若手組員は猫を逃がしてしまったことを謝ったが、姉さんからの返答はない。仕方がないので姉さんが何か言うまで、若手組員は姉さんが座るソファの後ろでずっと正座して待った。どれぐらいそうしていただろうか。猫が姉さんの膝の上で眠り始めてから1時間以上が経った頃、姉さんがおもむろに後ろを振り向いた。

「あんた、まだおったん?」

 その言葉に若手組員は一瞬、頭に血が上ったというが、ずっと正座していたため立つことができない。痺れた足でようやく立ち上がると、こう言われたという。

「組長に気に入られているかどうか知らんけど、あんた今までの部屋住みの中で最悪やわ」

関連キーワード

関連記事

トピックス

お笑いコンビ「ガッポリ建設」の室田稔さん
《ガッポリ建設クズ芸人・小堀敏夫の相方、室田稔がケーブルテレビ局から独立》4月末から「ワハハ本舗」内で自身の会社を起業、前職では20年赤字だった会社を初の黒字に
NEWSポストセブン
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン
「オネエキャラ」ならぬ「ユニセックスキャラ」という新境地を切り開いたGENKING.(40)
《「やーよ!」のブレイクから10年》「性転換手術すると出演枠を全部失いますよ」 GENKING.(40)が“身体も戸籍も女性になった現在” と“葛藤した過去”「私、ユニセックスじゃないのに」
NEWSポストセブン
「ガッポリ建設」のトレードマークは工事用ヘルメットにランニング姿
《嘘、借金、遅刻、ギャンブル、事務所解雇》クズ芸人・小堀敏夫を28年間許し続ける相方・室田稔が明かした本心「あんな人でも役に立てた」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト