「禁じ手」を報じた特番

CDポスター

CDも発売し、ポスターにもなった

 多感な少年時代を、「日本一有名な超能力少年」として駆け抜けた清田氏。好奇の目や批判に晒されることもあったが、大学進学後も「超能力者」としての活動は継続した。そんな彼に大きな試練が訪れる。1984年2月に放送された民放局の超能力特番で、手で強引にスプーンを曲げる清田氏を隠し撮りした映像が放送されたのだ。

「あの番組に関しては、すべて俺が悪いんです」と、本人がうつむきながら振り返る。

「当時は忙しすぎて心底疲れていて、スプーンを曲げられる精神状態ではなくなっていました。番組を辞退することも考えたけど、テレビ局の関係者から『特番をつくるのに2000万円かかっている』と言われて。当時20歳そこそこのガキだった俺は、『ここで辞退したら制作費の弁済を求められるかもしれない……』と考えてしまったんです。しかも収録は1週間ホテルに缶詰めで逃げ場がない。そうした状況下で精神的に追い詰められ、7本あったスプーンのうち3本を手で曲げてしまったんです」

 清田氏の「禁じ手」を報じた番組の視聴率は30%近くに達した。「やっぱりインチキじゃないか」とのバッシングが吹き荒れ、人生最大のピンチに見舞われた。

「自分としては、本当に超能力で曲げた残り4本のスプーンも検証してほしかったけど、テレビ局は“超能力はインチキだった”という結論にしたほうが、視聴率が取れると踏んだのかもしれません。お世話になっていた漫画家のつのだじろうさんからは『お前が今まで積み重ねてきたものが台無しになった』と叱られるし、親父も激怒した。みんなを裏切ってしまったことが申し訳なく、ひどく落ち込みました」

 自らの能力を否定されて、世間から猛バッシングされた清田氏。窮地を救ったのは友人の言葉だった。

「これでもう終わりだと思っていると、高校時代の友人から連絡があり、『清田、お前やっぱりすげえよ。手でスプーン曲げて、2時間もテレビに出られるのはお前だけだよ』と笑い飛ばしてくれたんです。この一言で気持ちが楽になり、再び自分の能力と向き合うことができました」

 友人の言葉を胸に失意を乗り越えた清田氏。だが、その後の人生も波瀾万丈だった──。(取材・構成=池田道大)

後編に続く

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