芸能

レポーター・阿部祐二さんが語る“現場主義”の矜持と「事件です!」誕生秘話

レポーターの矜持を語った

レポーターの矜持を語った

 3月31日に終了した『スッキリ』(日本テレビ系)で、レギュラーレポーターとして活躍した阿部祐二さん(64)。「○○さん、事件です!」とお馴染みのフレーズで事件現場に突入し、スクープを連発する阿部さんは、同番組の人気を支えるひとりだった。『スッキリ』が17年の歴史に幕を下ろした後も、阿部は4月から情報番組『ゴゴスマ~GOGO!Smile!~』(TBS系)で月曜コーナーのレポーターを担当。64歳にして第一線に立ち続ける阿部さんの“現場主義”の矜持とは何か。本人に直接話を聞いた。【前後編の前編】

──レポーターとして知られる以前は、俳優やモデルとして活動していました。レポーターを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

「当時、テレビ朝日の『ニュースステーション』のチーフプロデューサーの方から、『阿部をレポーターに起用してみてはどうか?』とウチの事務所に打診があった。その方と会って話をしようと思っていたんですが、『久米さんがキャスターだし、初めてレポーターをやる人間にはきついかもしれない』ということで、結局TBSのプロデューサーを紹介されました。TBS的にも変わった人材を欲しがっていたのか、『ビッグモーニング』で使ってみようと思ったんじゃないかな。

 その頃ちょうどアメリカの情報系の番組をよく見ていて、現場で華麗にレポートをしているのを見て憧れもあったんです。当時は役者はもちろん、家庭教師の会社も経営していたので、レポーターに挑戦することについては賛否もありました。もちろん女房にも相談もしました。でもやるなら他のことを捨てて、とことんやってみようと」

──レポーターをはじめた当初で、印象に残っている事件や災害は。

「TBSの報道の方から『報道系の現場に行かせてみたら』という声があって、いきなり自分のコーナーを任されることになりました。初めての現場は『つくば母子殺人事件』(1994年11月)。それから1995年になると『阪神・淡路大震災』、『地下鉄サリン事件』、1997年には『神戸連続児童殺傷事件』と立て続けに大きなニュースがあり、現場からレポートすることになりました。

 でも、改めて思うのは、今の自分のキャリアで当時のニュースをレポートできたなら……、そう思うことがあって。あの頃はレポーターとして何もできていなかった。あれだけ大きな事件、災害に対して、満足できるレポートでなかったし、悔やまれることばかりですね」

──スタッフからダメ出しなどもありましたか。

「ありましたよ。オウム真理教の事件の中継では放送禁止用語を言ってしまって、お叱りを受けました。見たものを的確に表現できないから、例えば庭に犬がいたら、その話ばかりで、どうでもいい内容に終始してしまう。局に帰ったら、『やっぱり彼はレポーターに向いてないんじゃないか』という声も聞こえてきました。

 実際に、TBSの『ビッグモーニング』『フレッシュ』(TBS系)から日本テレビの『ルックルックこんにちは』(日本テレビ系)に移ったということは、TBSが僕を手放したということですから。必要な人材ではなかったんだと感じましたね。『阪神・淡路大震災』では焼野原になっている現場で、『地面が熱い』と分かり切っていることしかレポートできない。その背景に何があるのか? 住んでいる住民がどんな状況にあるのか? そういうことに気づくこともできなかった。今でも思い出して、後悔します」

関連記事

トピックス

公選法違反の疑いで刑事告訴され、書類送検された斎藤知事(左:時事通信フォト)と折田楓氏(右:本人SNS)
“公選法違反疑惑”「メルチュ」折田楓氏の名前が行政SNS事業から消えていた  広島市の担当者が明かした“入札のウラ側”《過去には5年連続コンペ落札》
NEWSポストセブン
コンサートでは歌唱当時の衣装、振り付けを再現
南野陽子デビュー40周年記念ツアー初日に密着 当時の衣装と振り付けを再現「初めて曲を聞いた当時の思い出を重ねながら見ていただけると嬉しいです」
週刊ポスト
”薬物密輸”の疑いで逮捕された君島かれん容疑者(本人SNSより)
《28歳ギャルダンサーに“ケタミン密輸”疑い》SNSフォロワー10万人超えの君島かれん容疑者が逮捕 吐露していた“過去の過ち”「ガンジャで捕まりたかったな…」
NEWSポストセブン
中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
反論を続ける中居正広氏に“体調不良説” 関係者が「確認事項などで連絡してもなかなか反応が得られない」と明かす
週刊ポスト
スーパー「ライフ」製品が回収の騒動に発展(左は「ライフ」ホームページより、みぎはSNSより)
《全店舗で販売中止》「カビだらけで絶句…」スーパー「ライフ」自社ブランドのレトルトご飯「開封動画」が物議、本社が回答「念のため当該商品の販売を中止し、撤去いたしました」
NEWSポストセブン
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
「全てを話せば当然、有罪となっていたでしょう」不起訴になった大物地面師が55億円詐欺「積水ハウス事件」の裏側を告白 浮かび上がった“本当の黒幕”の存在
週刊ポスト
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《大谷翔平が“帰宅報告”投稿》真美子さん「娘のベビーカーを押して夫の試合観戦」…愛娘を抱いて夫婦を見守る「絶対的な味方」の存在
NEWSポストセブン
「お笑い米軍基地」が挑んだ新作コント「シュウダン・ジケツ」(撮影/西野嘉憲)
沖縄のコント集団「お笑い米軍基地」が戦後80年で世に問うた新作コント「シュウダン・ジケツ」にかける思い 主宰・まーちゃんが語る「戦争にツッコミを入れないと」
NEWSポストセブン
令和最強のグラビア女王・えなこ
令和最強のグラビア女王・えなこ 「表紙掲載」と「次の目標」への思いを語る
NEWSポストセブン
“地中海の楽園”マルタで公務員がコカインを使用していたことが発覚した(右の写真はサンプルです)
公務員のコカイン動画が大炎上…ワーホリ解禁の“地中海の楽園”マルタで蔓延する「ドラッグ地獄」の実態「ハードドラッグも規制がゆるい」
NEWSポストセブン
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さん、撮り下ろしグラビアに挑戦「撮られることにも慣れてきたような気がします」、今後は執筆業に注力「この夏は色んなことを体験して、これから書く文章にも活かしたいです」
週刊ポスト
強制送還のためニノイ・アキノ国際空港に移送された渡辺優樹、小島智信両容疑者を乗せて飛行機の下に向かう車両(2023年撮影、時事通信フォト)
【ルフィの一味は実は反目し合っていた】広域強盗事件の裁判で明かされた「本当の関係」 日本の実行役に報酬を支払わなかったとのエピソードも
NEWSポストセブン