ドイツのユニクロオフィスに自ら売り込み
私は美大を出たわけでもなく、本格的に絵の基本や技術を習ったこともありません。ほとんど独学で、自分の絵の描き方や技術が正しいかどうかも分からない。だから最初の頃は自信がありませんでした。でもドイツに渡り、試行錯誤するうちに、ワークショップで現地の人から褒めてもらうこともあり、少しずつ自信を持つことができるようになりました。
最近の仕事としては、坂上忍さんが立ち上げた動物保護ハウスの「さかがみ家」のグッズデザインをお手伝いさせていただいたり、ドイツのユニクロさんとコラボさせてもらったりしています。坂上さんとはTBS退社後もご縁があり、「伊東ちゃん、こういうのできる?」という連絡をもらって、「さかがみ家」のオンラインショップで販売されている洋服のデザインなどをさせてもらっています。ユニクロの仕事は自分からドイツのユニクロのオフィスに売り込みに行ったんですよ。そこのCOO(最高執行責任者)にお会いして、「一緒にドイツで仕事がしたいです」とお願いしたら、なんとその日のうちにコラボの話が決まったんです。現在、ドイツのユニクロでは私が描いた絵がプリントされた服が販売されています。日本のユニクロでは売られてないんですけどね。
ドイツに渡ったのは“直感”としか言いようがないですね。ドイツに行ったこともなかったし、ドイツ語も話せない。でも、自分が志すのは「芸術」の分野で、芸術だったらなんとなくヨーロッパがいいなと思い、どうせゼロからスタートするんだったら縁もゆかりもないドイツにしようと思ったんです。
ドイツに渡ってから3か月間、語学学校に通ったんですけど、ドイツ語ではなく、英語を学ぶクラスに入りました。だから英語はそれなりに上達しましたけど、ドイツ語は勉強してないんです(笑)。ドイツでの生活は1年半くらいになりますが、日常生活では耳で覚えた簡単なドイツ語を使い、ユニクロなどの仕事現場では英語を使っています。案外やってみたらなんとかなるもんですね。
ドイツの滞在ビザは「画家」として下りているので、それ以外の仕事することはできません。だから現在は他の仕事はしておらず、画家一本でやっています。ビザの期限が切れる2025年まではドイツにいる予定です。その後、ビザをどうするか、ドイツで暮らし続けるのかといったことはまだ決めていません。自分が「画家」として仕事をしているなんて夢にも思っていませんでしたが、それもこれもTBSのアナウンサーとして仕事の場所を与えられて、そこで中居さんや坂上さん、伊集院さん、スタッフといった方々が私の個性や才能を伸ばしてくれたからだと思っています。