ロシアが保有する核弾頭の総数は5977発(2022年時点)で、アメリカと並ぶ核保有大国(写真/アフロ)
福山さんもウクライナへの核使用があるとみる。
「ウクライナ領内のどこに落とすかは、100通りのターゲティングをしているはず。大量殺戮に見えないようにしつつ、かつゼレンスキー大統領やNATO(北大西洋条約機構)にとどまらず世界中に恐怖心を植え付けられるようシミュレーションを重ねていることでしょう。標的として考えられるのはロシアがウクライナから奪い、占領した地域です。激戦地域で人が少ない空白地帯に核を撃ち込めば、ウクライナ軍も入って行けなくなる」
懸念される核攻撃は爆弾だけではない。
「核を高層大気圏で空中爆発させ、通信や電力システムを断絶させる『電磁パルス(EMP)攻撃』という手段もあります。瞬間的に高電流、高電圧が発生し、あらゆる電子機器が故障する。電力インフラが破壊されて広範囲で停電が起きるほか、電話や銀行のオンライン回線など通信が途絶、大混乱を引き起こします」(福山さん)
広島から西日本全体に被害が及ぶほどの威力
最悪のシナリオとして日本が狙われる可能性もある。
「ロシアは過去、日本に何度も警告を発しています。例えば3月28日、ロシア海軍が日本海で超音速対艦ミサイルを使用する演習を行いましたが、あれもそのひとつです。加えてG7が開催されている期間の広島には、バイデン米大統領をはじめ各国の首脳が多数来日する。それを一網打尽にするために核を撃ち込んでもおかしくない。世界の主要国の中で日本が最も核兵器に弱く、迎撃できないのもその理由です」(中村さん)
日本に撃ち込まれるとすれば、どんな核兵器が使われるのか。中村さんが続ける。
「ロシアが撃つとすれば、おそらく大規模な目標の破壊を目的とした『戦略核』になる。広島から西日本全体に被害が及ぶくらい強大な威力を持つ核を使う可能性が高いです」
一方、福山さんはこうみる。
「現在のところロシアが日本を直接撃つ大義名分はないですが、このまま戦争がエスカレートすると第三次世界大戦に突入する恐れがある。もし戦争が始まれば極東にあるロシア基地だけではなく、中国や北朝鮮からも核で狙われる可能性があります。そうなれば例外なく、日本のどこにでもミサイルが降ってくる可能性があります」(福山さん・以下同)
