A子:それを聞くと、やっぱりいらないな、と思ってしまいます(笑い)。『ドネペジル』のような抗認知症薬も、スタチンと同じように処方しながら「これって本当に患者さんのためになるのかな?」と不安な気持ちになるんですが、おふたりはどう思いますか?
薬剤師仲間では評判があまりよくなくて……。認知機能の低下がみられる患者さんに使うと、落ち方が緩やかになる作用があるといいますが、認知症そのものが治ることはないし、ご本人は効果を実感できない。副作用で怒りやすくなったり、ひどい下痢や、めまいで転倒したりすることもあるので、デメリットが目立っている印象です。
C美:私も認知症の薬については、おかしいと思っています。昔、ある自治体が開催する認知症セミナーに行ったとき、同業他社の人が認知症の薬の説明をしていたのを聞いたことがあるのですが、そのときにびっくりしたのが、「抗認知症薬はできるだけ早くのみ始めて、ずっと続けないといけない。やめると一気に認知機能が落ちてしまいます」と話していたこと。そういう言い方って、脅しに近くないですか?
B男:その言い方は、ひどいですね。そもそも認知症の薬って医学界においても効いているかどうかは賛否両論あるんです。実際フランスだと抗認知症薬は副作用がある割には効果が少なく、薬の有用性が充分ではないと判断されて、2018年から医療保険適用外になっています。
A子:ますます、患者さんに出したくなくなっちゃうなぁ……。認知症もそうですが、やっぱり脳や精神に作用する薬は簡単に処方してはいけないと思う。にもかかわらず処方箋を見ていると、腰痛の人に整形外科でかなり強い睡眠薬や向精神薬が頻繁に出されているケースが珍しくない。確かに『エチゾラム』や『デュロキセチン』などは痛み止めとしても適応があるので完全に間違った処方とはいえないのでしょうが、薬物依存のリスクを天秤にかけてまで服用する必要があるのだろうか、と首をひねってしまいます。
B男:正直、多くの医師はそこまで患者に寄り添わず、効果が高いものや、患者に求められるものをそのまま出している。だけど、それらの薬はもっと処方に慎重になるべきなのは確かです。もし私が腰痛で出されたら、絶対に変えてもらいます。
C美:腰痛なら、のみ薬より患部に直接作用する貼り薬の方が効果的ですからね。社内でも、デスクワークで腰がつらいという先輩はよく湿布を貼っています。