芸能

市川猿之助騒動で重苦しい雰囲気に包まれる歌舞伎界 「パワハラ疑惑の真相究明に取り組むべき」の声も

香川照之の性加害報道の際

歌舞伎界は真相究明に動くのか(写真は猿之助。2023年春)

 市川猿之助(47才)が自宅で倒れて救急搬送され、父の市川段四郎さん(享年76)と母親(享年75)が亡くなってから2週間。歌舞伎界は重苦しい雰囲気に包まれている。SNSの更新をストップしたままの歌舞伎役者や梨園の妻たちもいる。

「通常なら公演の感想やPRをアップするのですが、新たに投稿する役者や家族はほとんどいません。中には、しばらくの間、SNSの運用を休止すると発表する役者もいて、心の整理には時間がかかりそうです」(芸能関係者)

 女性セブンは猿之助のセクハラ・パワハラ疑惑を報じているが、歌舞伎界ではその問題について、ほとんどの人が言及しようとしない。

 しかし、歌舞伎界すべてが一枚岩ではないようだ。

「猿之助さんの救急搬送の情報が流れたとき、ある一門の総帥は、“この災厄は自業自得ではないか”とつぶやいたといいます。それを聞いた若手の役者たちは、“不謹慎にもほどがある”と反発したようですが、総帥は猿之助さんの行状を知っていたので、以前から憂慮していたのでしょう」(歌舞伎評論家)

 猿之助が倒れ、両親が亡くなった経緯は、警察当局により捜査が進められている。猿之助本人への事情聴取や現場検証、スマートフォンの解析などにより、時間がかかっても、いずれ事件性があるかないかはっきりと結論が出る。それよりも歌舞伎界がいま取り組むべきは、深刻なセクハラ・パワハラという現実を真摯に受け止めることではないだろうか。

「歌舞伎役者はたしかにそれぞれが“自営業者”であり、家や一門といっても、会社などの組織ではなく、伝統的な芸能の慣習に則ったグループに過ぎません。松竹にしても、歌舞伎の興行を一手に行う興行主であって、役者とは業務提携の関係でしかない。『歌舞伎界』と一言でいっても、それを統括する団体や組織は存在しないのです。

 それでも、世界に誇る伝統芸能の歌舞伎という文化を守り、発展させていくならば、時流に合わせて現代的なコンプライアンス意識を持ち込まねばならないのは当然です。その主体となり得るのは、松竹以外にありえません。

 松竹は何よりもまず、被害を受けた人たちのメンタルケアや経済的損失の救済に動くべきです。同時に、第三者委員会など外部組織を立ち上げて、関係者に聞き取り調査を行うなど徹底して、今回の猿之助さんのセクハラ・パワハラ疑惑の真相究明に取り組み、それらを防止するために、歌舞伎界に新たなルールを作るべきではないでしょうか」(前出・歌舞伎評論家)

※女性セブン2023年6月15日号

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