経験不問。18歳以上が応募できるシーズナルスタッフの時給は1500円(コストコの採用ページより)

経験不問。18歳以上が応募できるシーズナルスタッフの時給は1500円(コストコの採用ページより)

 正直に話してくれたが、日本の時給の決め方は「どんぶり勘定」「その時の経営者の気分」「人を見て決める」「周りに合わせる」が横行してきたのは事実だろう。厳正な人事考課とは名ばかりでそれこそ「さじ加減」「お気持ち」で決めてしまう。人事評価の不満要因が「基準の不明確さ」であることは多くの労働者アンケートでも上位だが、この国の永遠の課題(というか多くは直す気がない)のままではないかと思わされる。

 群馬ではないが、筆者の元教え子でアルバイトをしている男子大学生にコストコの話を振る。

「コストコ、近くにあったら土日だけでも入りたいですね。時給が高くて透明性がある、それが一番じゃないですか。働きやすさとかはわかりませんが、どっちにしろ、日本は時給が安くて仕事環境も悪いバイトばかりですから」

 この国のアルバイト不足は深刻だ。とくに飲食業と小売業は重症で、コロナ禍も明けたかに思われた矢先、人手不足による時短や臨時休業、人手不足による廃業まで報じられて久しい。日本フランチャイズチェーン協会の挙げる「急激な社会環境変化への対応遅れ」とは、まさしくこの国の少子化、人口減に経営サイドの感覚が追いついていない、それに伴う労働者の価値観の変化を理解していないという点にある。はっきり言って、コンビニや居酒屋などの小売、外食は多くが労働者から選んでもらえていない。

 また7月に入り、18歳未満の未婚の子どものいる世帯そのものが991万7000世帯(厚生労働省)と初めて1000万世帯を下回ったことが話題となったが、つまるところ現在の団塊ジュニア(1971~1974年生まれ)、氷河期世代(1990年~2000年代に就職活動を行った35~55歳)の多くがその「18歳未満の未婚の子どものいる世帯」を形成できなかった、そうした国のままに「代わりはいくらでもいる」と放置したこともまた、「急激な社会環境変化への対応遅れ」だろうか。

 ともあれ、そうした人手不足の中でコストコは「グローバルスタンダード」を持ち込んだ。最低賃金にあぐらをかいていた企業、とくに地方は「コストコに(人を)取られる」「コストコが(地域の)賃金を壊している」と危機感を募らせている。

この国の小売は待遇が悪すぎた

「群馬などまだいい。あのあたり、実際の時給はもう少し高いだろう。この地域は883円だ。実際の時給も最低賃金に近い」

関連記事

トピックス

児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン
都内の日本料理店から出てきた2人
《交際6年で初2ショット》サッカー日本代表・南野拓実、柳ゆり菜と“もはや夫婦”なカップルコーデ「結婚ブーム」で機運高まる
NEWSポストセブン
水原一平とAさん(球団公式カメラマンのジョン・スーフー氏のInstagramより)
「妻と会えない空白をギャンブルで埋めて…」激太りの水原一平が明かしていた“伴侶への想い” 誘惑の多い刑務所で自らを律する「妻との約束」
NEWSポストセブン
無期限の活動休止を発表した国分太一
「こんなロケ弁なんて食べられない」『男子ごはん』出演の国分太一、現場スタッフに伝えた“プロ意識”…若手はヒソヒソ声で「今日の太一さんの機嫌はどう?」
NEWSポストセブン
1993年、第19代クラリオンガールを務めた立河宜子さん
《芸能界を離れて24年ぶりのインタビュー》人気番組『ワンダフル』MCの元タレント立河宜子が明かした現在の仕事、離婚を経て「1日を楽しんで生きていこう」4度の手術を乗り越えた“人生の分岐点”
NEWSポストセブン
元KAT-TUNの亀梨和也との関係でも注目される田中みな実
《亀梨和也との交際の行方は…》田中みな実(38)が美脚パンツスタイルで“高級スーパー爆買い”の昼下がり 「紙袋3袋の食材」は誰と?
NEWSポストセブン