国内

「闇落ち」しない程度に交わっていた刑事と暴力団 暴対法施行以後は情報源をめぐる繊細なやりとり続く

指定暴力団山口組総本部の横に設置されている「暴力団追放」と書かれた看板。手前は、家宅捜索で警戒する大阪府警の機動隊員(時事通信フォト)

指定暴力団山口組総本部の横に設置されている「暴力団追放」と書かれた看板。手前は、家宅捜索で警戒する大阪府警の機動隊員(時事通信フォト)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、暴力団対策法施行以前の時代に、「闇落ち」させようとする暴力団と刑事、超えてはならない一線をめぐる攻防について。

 * * *
「昔の刑事にはけっこう悪いのがいた」と話すのは、今は現役を引退したヤクザの元組長だ。「”ゆすりたかり”はヤクザの常套手段、脅迫に恐喝、強要はヤクザにとっては日常茶飯事だが、昭和の時代はそんなヤクザから金を巻き上げようとする悪がいた」という。

 暴対法や暴排条例が制定される以前、ヤクザの主な収入源には”みかじめ料”があった。みかじめ料とは、縄張りであるシマにある店の用心棒代や、トラブルがあった時にそれを処理するケツ持ちと称して、店から毎月のように徴収していた金だ。元組長の組では、組員たちが一軒ずつ店を訪れ、声をかけてはその金を受け取っていたという。「毎月その頃になると事務所に顔なじみの刑事がやってきた」という。

「そういう刑事は、所轄内にある暴力団のケツ持ちをしてやっているという感覚だったのだろう」と元組長はいう。「『問題を起こしていないな』と圧をかけてくるから、『そんなことありませんよ。勘弁してくださいよ』と袖の下を渡す。すると『真面目にやれよ』とすんなり受け取って帰っていった」という。「こういう刑事ほど、嫌なやつだった」と元組長はいうが、ヤクザから金をせびっていく刑事は一人二人ではなかったようだ。

黙って昼飯を食べに行っていた

 昭和の時代、マル暴に配属になったばかりのある刑事は、二人一組で組んだベテラン刑事に連れられて毎日、ある場所に昼飯を食べに行ったという。「昼頃時、ある暴力団事務所に行った。ベテラン刑事は何も言わずに事務所のドアを開け、慣れたようにソファーに座った。すると組員らも一言もなく当然のように飯を出してくる。俺たちはそれを食べ、何も言わずに事務所を出た」という。そしてこの行動は度々、繰り返されていた。ヤクザの事務所なら、ほぼどこでも組員たちが当番で飯を作るため、飯があるのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン