チーム再建を託されて昨季から就任した立浪監督だが、その評判は芳しくない。昨季は6年ぶりの最下位に沈むと、今年も最下位に低迷。岡林勇希、高橋宏斗、細川成也と若い力が台頭しているが、投打でミスが多く、目指す野球の方向性も見えてこない。試合後のコメントで、選手に手厳しい内容が目立つのも気になる。
「立浪監督はPL学園からドラフト1位で中日に入り、高卒1年目から活躍してきた。天才肌で野球センスが凄く22年間常に一軍で結果を残してきた。自分が監督になって、選手がなぜミスをするのか、打てないのか理解できずに苛立っているように感じます。冗談のつもりで厳しい言葉をかけても、選手には真意が伝わらずに委縮してしまう。リーダーとしての資質に疑問符がつきます」(前出のスポーツ紙記者)
立浪監督は現役引退してから、12年ぶりに監督復帰するまで、NPBの球団で指導歴がなかった。この点を問題視する声が上がっているが、必ずしも当てはまらないだろう。今年から広島の監督に就任し、2位の好位置につけている新井貴浩監督も現役引退後に、ユニフォームを着てのコーチ経験がないからだ。
広島は2019年から4年連続Bクラスと低迷し、昨オフも目立った補強をしていなかった。中日と置かれた状況は似ており開幕前の下馬評は低かったが、新井監督はきっちりチームを立て直している。スポーツ紙デスクは、こう指摘する。
「新井監督は結果が出なかった選手を一切責めず、『使ったおれが悪い』という姿勢で一貫しているので、選手たちはのびのびプレーしている。現役時代にドラフト6位で広島に入団した新井監督は決して野球センスがあったわけではない。守備は下手で打撃も最初はバットにボールが全然当たらなかったが、並外れた練習量で球界を代表する強打者に上りつめた。自分が下手くそだという意識があるから、選手に寄り添った助言や指導ができるし、コーチの助言にも耳を傾ける。
広島と中日はベンチの空気も対照的です。広島は活気にあふれていて、よく声が出ている。新井監督は試合中もコーチやスコアラーと会話を密に交わし、先頭になって選手たちの労をねぎらう。一方、中日は立浪監督がピリピリした空気を身にまとい、選手やコーチは顔色をチラチラ見て重苦しい雰囲気が漂っている。広島が2位、中日が最下位に沈んでいる現状は必然ではないでしょうか」