芸能

高田文夫曰く“やる気の無さ関東一”の三遊亭好楽 自宅寄席での独演会の客11人、打ち上げは35人

喜寿を迎えた三遊亭好楽(イラスト/佐野文二郎)

喜寿を迎えた三遊亭好楽(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、喜寿を迎えた三遊亭好楽について綴る。

 * * *
 大変だ、三遊亭好楽が「喜寿」(77歳)である。古い人なら「喜寿だらけの人生」by鶴田浩二なんて言うかも(ザブトン持ってけ)。

 今や国民的番組、近頃は子供達が見てるという『笑点』。ピリリと辛い一之輔の看板が一枚加わり少しはシャキッとしてきた。そこで妙にうけてるのが「答えない」「手を挙げない」「指されると変にすべる」でおなじみ、やる気のなさ関東一の好楽である。

 久しぶりに会ったので「カミさん亡くして楽ちゃん(楽太郎だった圓楽)もいなくなって淋しいでしょ」と御為ごかしに言うと「うん。まぁ。それよりさこの前、ポリープ取りに病院行ったのよ。そしたら医者があたしに向かって“ポリープ取る前に笑いを取れ”だってアハハ、うけたねぇ」だと。うけてる場合か。

「笑点の収録は大丈夫?」「うん。何とか答えないようにしてさ……今度遅刻して出てやろうかと思って」「いいネ。2問で早退って手もあるよ」「さすが。最悪答えが出なかったらおしっこしちゃおうと思って」アハハひどい芸である。77歳の言うことじゃない。

 この師匠は元々先代の林家正蔵(のちに彦六)の弟子で、酒の上のしくじりで23回破門されている。師没後83年に圓楽(『笑点』司会者。ガハハと笑った)門下となり、楽太郎だった圓楽と兄弟分になる。正蔵門下時代は林家九蔵と名乗り、仲間内からは「九ちゃん」と呼ばれ、ここの家の人が皆いい人でいつも誰かが飲んでいる。私も大学生時代、田島(のちの右朝)やら高助(のちの志ん五)、左談次らと家へ行っちゃ飲み酔い泊まって、もう朝なんてことが年中。落語長屋のような暮らしぶりだった。

 自分で小さな寄席を造った。1階が寄席で2階が好楽の住まい、3階には孫達だそうな。電話の取り次ぎも自分でやる。「ハイ好楽です」「ラーメンとギョーザ2人前」。日に3本は間違い電話が入る。根津駅徒歩3分。「池之端しのぶ亭」。40人で満席だそうな。「この前ね、私の独演会やったの。客11人。終わってむかいの呑み屋で打ちあげやったら35人いた。みんな落語きかないで飲むだけを楽しみに来てるの」。

 そんな訳で私が「今度対談かなんかで出ようか」と言ったが早いか、次の日には告知。「好楽喜寿記念落語会」。9月13日、桂宮治ら。14日、桂竹丸、春風亭一之輔、高田文夫。15日、林家木久扇、三遊亭王楽(息子)ら。自慢するようで言い出しにくいのですが私の出る日はすでに完売です。本当に悪しからず。

※週刊ポスト2023年9月8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

還暦を過ぎて息子が誕生した船越英一郎
《ベビーカーで3ショットのパパ姿》船越英一郎の再婚相手・23歳年下の松下萌子が1歳の子ども授かるも「指輪も見せず結婚に沈黙貫いた事情」
NEWSポストセブン
ここ数日、X(旧Twitter)で下着ディズニー」という言葉波紋を呼んでいる
《白シャツも脱いで胸元あらわに》グラビア活動女性の「下着ディズニー」投稿が物議…オリエンタルランドが回答「個別の事象についてお答えしておりません」「公序良俗に反するような服装の場合は入園をお断り」
NEWSポストセブン
志穂美悦子さん
《事実上の別居状態》長渕剛が40歳年下美女と接近も「離婚しない」妻・志穂美悦子の“揺るぎない覚悟と肉体”「パンパンな上腕二頭筋に鋼のような腹筋」「強靭な肉体に健全な精神」 
NEWSポストセブン
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《還暦で正社員として転職》ビッグダディがビル清掃バイトを8月末で退職、林下家5人目のコンビニ店員に転身「9月から次男と期間限定同居」のさすらい人生
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を訪問された佳子さま(2025年8月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《日帰り弾丸旅行を満喫》佳子さま、大阪・関西万博を初訪問 輪島塗の地球儀をご覧になった際には被災した職人に気遣われる場面も 
女性セブン
鷲谷は田中のメジャーでの活躍を目の当たりにして、自身もメジャー挑戦を決意した
【日米通算200勝に王手】巨人・田中将大より“一足先にメジャー挑戦”した駒大苫小牧の同級生が贈るエール「やっぱり将大はすごいです。孤高の存在です」
NEWSポストセブン
侵入したクマ
《都内を襲うクマ被害》「筋肉が凄い、犬と全然違う」駐車場で目撃した“疾走する熊の恐怖”、行政は「檻を2基設置、駆除などを視野に対応」
NEWSポストセブン
山田和利・裕貴父子
山田裕貴の父、元中日・山田和利さんが死去 元同僚が明かす「息子のことを周囲に自慢して回らなかった理由」 口数が少なく「真面目で群れない人だった」の人物評
NEWSポストセブン
8月27日早朝、谷本将志容疑者の居室で家宅捜索が行われた(右:共同通信)
《4畳半の居室に“2柱の位牌”》「300万円の自己破産を手伝った」谷本将司容疑者の勤務先社長が明かしていた“不可解な素顔”「飲みに行っても1次会で帰るタイプ」
NEWSポストセブン
国内未承認の危険ドラッグ「エトミデート」が沖縄で蔓延している(時事通信フォト/TikTokより)
《沖縄で広がる“ゾンビタバコ”》「うつろな目、手足は痙攣し、奇声を上げ…」指定薬物「エトミデート」が若者に蔓延する深刻な実態「バイ(売買)の話が不良連中に回っていた」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
【美しい!と称賛】佳子さま “3着目のドットワンピ”に絶賛の声 モード誌スタイリストが解説「セブンティーズな着こなしで、万博と皇室の“歴史”を表現されたのでは」
NEWSポストセブン
騒動から2ヶ月が経ったが…(時事通信フォト)
《正直、ショックだよ》国分太一のコンプラ違反でTOKIO解散に長瀬智也が漏らしていたリアルな“本音”
NEWSポストセブン