対話型の生成AI(人工知能)に、「就職活動の入社試験で志望動機をどう答えればいいか」などと質問した際に表示された回答(イメージ、時事通信フォト)
エントリーシート作成、面接対策などで活用
生成AIは、就活自体も変えている。
就活情報サイト「就活の教科書」を運営するSynergy Careerの「AIと就活に関するアンケート」(2023年6月)によると、就活でChatGPTを使うことに「賛成」(37.3%)、「どちらかといえば賛成」(40.8%)と、合計約78%が賛成している。一方で、就活でChatGPTを利用したことがある人の割合は35.2%だった。約8割が賛成にも関わらず利用率が3割強にとどまるのは、流行し始めたばかりなのでリスクを恐れたり、利用方法を模索している段階だからだろう。
就活におけるChatGPTの利用目的は、「ES(エントリーシート)作成」(33.5%)、「企業/業界分析」(23.5%)、「面接対策」(15.8%)、「自己分析」(13.1%)、「メール」(8.1%)等となった。
自己PR等の文章の推敲、400文字を600文字へなどの拡大等、時間がかかることの時間短縮もできる上、エントリーシート添削、面接で聞かれそうな想定質問対策等の、従来先輩やキャリアセンターなど他人の手を借りていたことも、ChatGPTを使えば24時間何度でも可能となるというわけだ。
さらにChatGPTで作成したエントリーシートを提出したことがあるか聞いたところ、「ある」(6.3%)、「部分的にある」(16.9%)と、既に多くの学生が利用し、提出までしていることが分かった。
ディスコのキャリタス就活2024学生モニター調査結果(2023年3月)によると、就活生一人あたりのエントリー社数平均は19.1社で、今後のエントリー予定社数平均は10.7社、合計約30社となっている。志望動機等は会社ごとに内容を変えるものであり、使い回しができない。近年はWebエントリーも増えているためパソコンで書いても問題ないことも多いが、手書きが指定されていることもあり、非常に時間がかかるものとなっている。
今の大学生は非常に忙しい。大学の講義はオンライン授業から対面授業に戻り、部活やサークル、バイトも復活している。彼らは、タイムパフォーマンス、通称「タイパ」志向が強い。AIでたたき台まで作成できれば、エントリーシートに割く時間の短縮が可能となる。それ故、支持を受けていると考えられるのだ。
