鴨下医師(右)と絵本作家のよしだるみ氏(左)

鴨下医師(右)と絵本作家のよしだるみ氏(左)

「結婚してすぐに妊活を始めて、早い段階で僕が無精子症だということがわかりました。知ったときは驚きましたし、ショックもありました。ただ、夫婦ともに子供を持ちたいという思いはあったので、養子縁組なども考えました。その選択肢のひとつとしてあったのが、AIDでした。妻の遺伝子がある子が生まれる可能性があるなら、それをやろうと」

 そんな夫に妻は支えられた。

「本人もショックだったと思うんですが、それ以上に私の方がショックを引きずっていたかもしれません。提供精子に抵抗がある方もいると思うんですが、彼は“やれることはやりたい”と言ってくれて。前向きにいろいろ調べてくれた彼に支えてもらいました。

 AIDを選択したときから夫婦で何度も話し合い、子供にはちゃんと告知しようと決めていました。不安になるときもあったんですが、今日ワークショップに参加して、告知の重要性を改めて認識することができました」

 ワークショップでは、具体的な事例として、一般社団法人『AID当事者支援会』代表の寺山竜生さん(50才)と妻が、4才の娘への告知体験を明かした。

「妊娠中から、告知をテーマにした絵本を読んで、妻と練習をしたんです。言葉ひとつとっても、『精子』を《パパの卵》と言おうか、《パパの種》と言おうか、とか。『ドナー』という言葉はどうしようかとか、妻と繰り返し話し合いました。

 正直、生まれるまでは不安のほうが大きかったですね。血のつながりがない子を愛せなかったら…、自分に似てなかったら…とか。でも、娘が生まれてきた瞬間に、“この子は自分の子だ!”と、自然と受けいれることができました。

 ただ、“自分の子”だと強く認識しすぎて、“この子に告知する必要があるのだろうか?”と疑問が芽生えてしまったんです」(寺山さん)

 一時は告知をしない選択も思い浮かんだというが、AIDで生まれた子供やその家族の苦悩や葛藤、体験談に触れることで、告知の意義を再確認したそうだ。

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