スポーツ

大相撲 終盤戦の絶妙な取組編成に「伊勢ヶ濱親方が審判部長を辞めてから割りが面白くなった」との評価

最後の最後まで土俵から目が離せない展開に(大栄翔=左、熱海富士=右。時事通信フォト)

最後の最後まで土俵から目が離せない展開に(大栄翔=左、熱海富士=右。時事通信フォト)

 9月24日に千秋楽を迎えた大相撲9月場所。ここ数場所、角界関係者の間で「絶妙だ」と評されているのが、「割り」と呼ばれる取組の編成だ。通常は番付に基づいて対戦相手が決まっていくが、最近は横綱や大関の不振が続き、平幕力士が終盤まで優勝争いに残るケースが増えたため、10日目以降は番付に関係なく割りが組まれる。直接対決のサバイバル戦が展開されているが、とりわけ「今年に入ってからの割りが絶妙」という声が関係者からは聞こえてくる。

 7月場所は14日目までに豊昇龍、北勝富士、新入幕の伯桜鵬の3人が横一線に並んでいたところ、千秋楽は豊昇龍(東関脇)と伯桜鵬(西前頭17)、北勝富士(西前頭9)と4敗の錦木(東前頭1)が対戦する割りが組まれた。伯桜鵬を破った豊昇龍と北勝富士の優勝決定戦となり、押し出しで勝った豊昇龍が初優勝。大関に昇進した。相撲担当記者が言う。

「本来、幕内下位の力士は三役(大関、関脇、小結)とは対戦しない。しかし、それは横綱や大関が強かった頃の話。今は番付が崩壊し、序盤で全勝が消える場所が続く。7月場所も横綱・照ノ富士と大関・貴景勝に加え、新大関の霧島まで初日から休場。5日目まで勝ちっ放しだったのは錦木、高安、豪ノ山という平幕の3人だけ。三役以上は全滅だった。

 9月場所も横綱・照ノ富士が休場し、三役以上の無敗力士は3日目で消えてしまった。優勝争いを引っ張ったのは再入幕の熱海富士(東前頭15)で、12日目には東小結・大栄翔と対戦。13日目には優勝争いをする西大関の貴景勝と直接対決の割りが組まれた」

 そうしたなか、若手親方は、「割りが面白くなったのは伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)が部屋の力士による暴力事件の責任をとって理事(審判部長)を更迭された今年1月場所以降でしょう」と評価する。

 本場所では関取は15日間、幕下以下は7日間土俵に上がるが、1日160番以上にのぼる取組を決めるのが取組編成会議である。審判部の部長や副部長、委員、副理事の親方たちが集まって決めていく。初日と2日目は本場所の2日前に決定し、3日目以降は前日の午前中に取組が決まっていく。若手親方が続ける。

「責任者である審判部長に最終決定権がある。現在の審判部長は佐渡ヶ嶽親方(元関脇・琴ノ若)だが、今年1月までは伊勢ヶ濱親方と佐渡ヶ嶽親方の審判部長2人体制だった。昨年3月から2人体制が組まれていたが、背景には伊勢ヶ濱親方を責任者とする取組編成に納得できないとする声が関係者から聞こえていたことがあるとされます。昨年7月場所では、連覇を狙う伊勢ヶ濱部屋所属の照ノ富士に、負けが込んでいる佐田の海や遠藤を対戦させているといった割りに批判が出ていた。

 そうしたなか、協会内の実力者である尾車親方(元大関・琴風)を後ろ盾にする佐渡ヶ嶽親方が、側近の粂川親方(元小結・琴稲妻)とともに審判部送り込まれた。それ以来、審判部内に2つの派閥が形成される構図となり、佐渡ヶ嶽親方とは犬猿の仲の朝日山親方(元関脇・琴錦)が伊勢ヶ濱派の急先鋒だった。それが伊勢ヶ濱親方が不祥事で今年1月に2階級降格となり、佐渡ヶ嶽親方の審判部長1人制になったわけです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン