スポーツ

王貞治氏が明かす、巨人V9時代「川上哲治監督の手綱さばき」 日本シリーズ前に土砂降りの多摩川で猛練習

川上監督(写真左)のもとONは圧倒的な輝きを放った

川上哲治監督(写真左)のもとONは圧倒的な輝きを放った

 90年の歴史がある日本プロ野球においても、1965年から1973年にかけて達成された巨人の9年連続日本一は「不滅の記録」として位置づけられる。それはまた、野球がもっとも熱かった時代の記憶でもある。ONという球史に残るスーパースターとしてチームを引っ張った王貞治氏(83)が当時を振り返る。【全4回の第2回。第1回から読む

 * * *
 要するにV9といっても、圧倒的に強かったわけではなかった。ペナントでは天王山の連続でいつもギリギリの優勝だった。阪神だったり、中日だったりと、毎年相手は違うが、ジャイアンツの優勝を脅かすチームがあった。10ゲームも引き離してのゴールではなく、9月に入って何度も天王山がありました。

 あとなぜかわからないが日本シリーズは下馬評では必ずパが優勢なんですよね。南海と3回、阪急と5回、ロッテと1回対戦していますが、すべてがそう。

 たしかに当時は“人気のセ、実力のパ”といわれていたが、「今年こそジャイアンツは勝てないだろう」と、決まってパを勝ち上がってきたチームのほうが有利という前評判でしたね。

 毎年日本シリーズでの対戦相手が違うし、伝わってくるのは相手のほうが強いという情報ばかり。それだからこそ負けられないという気になりました。

 それに、川上(哲治)さんが常にチームの手綱を締めていた。犬ぞりじゃないが、ちゃんと選手に前を向かせていた。ONをはじめコマが揃っていたので、他の監督がやってもV4、V5は達成できたかもしれないが、9年続けて日本一になったのは川上さんの手綱さばきだったと思いますね。

 勝つためには手段を選ばなかった。日本シリーズ前に多摩川グラウンド(当時の二軍練習場)で土砂降りの雨の中でバッティング練習をしたこともあります。

 試合はもちろん、練習もしないだろうという激しい雨でした。選手が「えっ」と思うようなことを意識してやらせたと思うんですが、川上さんからは「プロはこういうことをしてでも勝つんだ」というプロ意識を叩き込まれました。

 球界の盟主を名乗るジャイアンツでは、勝ちに対する執念はそれまでもかなりありましたが、川上さんが監督に就任したことによってより強いものになっていきました。

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト