失言で謝罪した福岡県中間市の福田健次市長

失言で謝罪した福岡県中間市の福田健次市長

「挨拶と~」は、たしかにくだらない冗談です。しかし、学級会的な正論を振りかざして「許さない!」といきり立つことが望ましい反応とされたら、至らなさに対する寛容な気持ちや自分とは違う感覚を適当に受け流す柔軟性は、人々の心からどんどんスポイルされていくに違いありません。それは間違いなく「生きづらい世の中」への道です。

 さらに、叩きたがり屋さんが増えれば増えるほど、人々はお互いに疑心暗鬼になり、揚げ足を取られることを恐れて、ビクビクした気持ちで暮らさざるを得ません。戦時中に「非国民」「お国のため」を絶対的な基準にして、考えることを放棄しつつ相互監視が強まったのと同じです。あら探しに精を出していた国防婦人会のメンバーは、きっと充実感や気持ちよさに包まれていたことでしょう。現代の叩きたがり屋さんのように。

 大きなお世話かもしれませんけど、叩くことに精を出している人たちも気の毒です。新たな快感を得るために、常におあつらえ向きの対象を探し続けなければなりません。鵜の目鷹の目で叩く対象を探し続ける心の中は、さぞ殺伐としているでしょう。

「挨拶と~」を叩くのはいかがなものかと思う同士のみなさん、逆風に負けずに今のスタンスを堅持しましょう。チャンスがあれば「まあまあ、いいじゃないですか」とかばってあげたいところ。このままでは「据え膳食わぬは男の恥」「悪女の深情け」「蓼食う虫も好き好き」といった味わい深い言葉も、遠からず攻撃対象にされてしまいます。「酒と女は二号まで」や「女房と畳は新しいほうがいい」は、すでにパージされました。

 まあでも、叩くことには毅然と異を唱えたいですけど、だからといって自分がスピーチするときに「挨拶と~」を使うかというと、それはまた別の話です。

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン