ビジネス

戻ってきた訪日外国人客 牛丼や回転寿司、ラーメンに感激する傾向

訪日外国人観光客でにぎわう浅草の仲見世通り。2023年10月、訪日外国人客数はコロナ前のペースに戻った(イメージ、時事通信フォト)

訪日外国人観光客でにぎわう浅草の仲見世通り。2023年10月、訪日外国人客数はコロナ前のペースに戻った(イメージ、時事通信フォト)

 観光立国推進基本法が施行されて16年、日本の訪日外国人客数は16年前の2564万人から2019年には5196万人を記録していた。その後、新型コロナウイルスの世界的流行により落ち込むが、2023年後半から2019年水準に戻りつつある。ところが、訪日外国人客の消費傾向がコロナを挟んで大きく変化しつつあるというのだ。ライターの宮添優氏が、爆買いを止めた彼らが楽しみにしていることと、なぜその選択をしたのかについて本音を聞いた。

 * * *
 世界を震撼させた新型コロナウイルスの猛威が去り、海外から来日するインバウンド客数も回復してきた。2023年12月に発表されたその前月、11月の訪日外国人客は244万800人となった。2019年同月とほぼ同数で、10月に続いてコロナ前の水準となった。確かに、東京や大阪といった日本の大都市を歩けば、大きなスーツケースを転がす外国人観光客の姿をあちこちで見かけるようにもなった。

 しかし、東京・銀座にある老舗デパート内の有名ブランド店従業員・相根愛さん(仮名・40代)は「未だ爆買いは戻ってこない」と嘆息する。

「目抜き通りを歩けば外国人観光客の姿は見かけるものの、財布の紐は非常に硬く、百貨店に入ってくる客は少ないです。特に爆買いの象徴であった裕福な中国人客は、今も戻ってきていません」(相根さん)

リーズナブルに日本文化を楽しみたい中間層

 確かに、コロナ前の水準に戻ったとされる11月の訪日外国人客数をみると、中国だけに限れば対2019年比で65.6%減と回復からはほど遠い。2月10日から旧正月、春節の大型休暇があり多くの中国人が旅行へ出かける時期だが、訪日については以前の水準に戻らないのではないかと見られている。

 なにより現在、中国国内では長らく続いた不動産バブルが弾け、かつての富裕層たちは貯蓄に走り、消費をしなくなったと報じられている。そのため中国からの観光旅行は制限がなくなったにも関わらず、以前のような勢いはなく、それでも訪日している中国人観光客は派手に「爆買い」をしなくなった。反面、円安を背景とした割安感を求め、リーズナブルに日本文化を楽しみたいという中国を含めた外国の中間層が、日本へやってきている模様である。

 中国人に限らず、インバウンド客たちの質が大きく変化しているという指摘は多い。そして彼らが目指すのは、日本国内の牛丼店や回転寿司店、ラーメン店、そして街中のコンビニなのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン