甲府地検に入る、逮捕された少年を乗せた車(2021年撮影、時事通信フォト)

甲府地検に入る、逮捕された少年を乗せた車(2021年撮影、時事通信フォト)

 事件数日前、被告は好意を抱いたCさんに交際を申し込んだが、LINEで断わられ、その理由を問いただしたものの返信がこなかったことから「絶望や怒りを感じ、自暴自棄になった。将来を考えるともう生きていたくないと思うようになり、逃げ出そうと思った。逃げるなら、かねてより興味があった拷問をしてみたい。Cさんが自分のことを忘れられなくなるように拉致して拷問したいと考えるようになり、ペンチで爪を剥ぎ、ナイフで体を刺したい、ホームパンチャーで体に針を刺そうと考え準備した」(判決より)という。

 ところが事件直前には「Cさんと同性の友人のハグを目撃」(同)したことから「怒りを覚えたが、車を追跡し自宅を突き止め、Cさん以外の家族を全員殺し、Cさんを拉致し、心身に大きな傷を与え自分のことを忘れられないように」しようと計画を変更した。当時被告は、Cさんが異性とハグをしているのだと思い込んでいたという。

 犯行まで、ガスボンベやオイル、ライターなど購入し続け、「声帯除去 人間」「人間 声出せなくする」といったキーワードでスマホ検索したり、火事で燃えやすいものについても調べるなどして犯行に及んだ。Cさんの妹・Dさんの命が助かったのは、被告が「後からでも殺せる、まず両親から殺そう」(検察側冒頭陳述より)と計画立てていたからだった。その隙に姉妹は住宅2階から飛び降り、夜中のコンビニに駆け込んで助けを求めた。

「本当のことを話す」

 こうした犯行内容について、遠藤被告は法廷で詳細を語ることはなかった。2023年11月13日の被告人質問では、ほとんどの質問に黙秘を貫き、答えない理由を弁護人に問われた際は「社会に戻るつもりがないからです」と述べた。このため証拠採用されたのが、逮捕当時、また鑑定留置後に聴取された被告の調書である。これらの調書から、被告の犯行への執念、Cさんへの筋違いの恨み、そして計算高さが浮き彫りとなった。

 まず逮捕当初、被告は「Cさんへの拉致拷問」の計画は伏せ、「Cさんの家族『全員』を殺すつもりだった」と語っていた。

「通報させず、逃さず、確実に殺すため、全員を殺すことを決めた」(逮捕当時の調書)

 また当時は被害者家族への謝罪の言葉も述べていた。

「今回したことは本当に申し訳ない思い。その思いはずっと変わらず、今もその思いだけです」(同)

 ところが鑑定留置後の調書では一転し、計画に「Cさんへの拉致拷問」があったことを認め、Cさんだけを生かして連れ去る目的があったことを明かしたのだった。

「鑑定前まで、罪を軽くしたいという思いから嘘をついていたが、軽くする気がなくなった。本当のことを話す」(鑑定留置後の調書)

関連記事

トピックス

体調を見極めながらの公務へのお出ましだという(4月、東京・清瀬市。写真/JMPA)
体調不調が長引く紀子さま、宮内庁病院は「1500万円分の薬」を購入 “皇室のかかりつけ医”に炎症性腸疾患のスペシャリストが着任
女性セブン
学習院初等科時代から山本さん(右)と共にチェロを演奏され来た(写真は2017年4月、東京・豊島区。写真/JMPA)
愛子さま、早逝の親友チェリストの「追悼コンサート」をご鑑賞 ステージには木村拓哉の長女Cocomiの姿
女性セブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
睡眠研究の第一人者、柳沢正史教授
ノーベル賞候補となった研究者に訊いた“睡眠の謎”「自称ショートスリーパーの99%以上はただの寝不足です」
週刊ポスト
公式X(旧Twitter)アカウントを開設した氷川きよし(インスタグラムより)
《再始動》事務所独立の氷川きよしが公式Xアカウントを開設 芸名は継続の裏で手放した「過去」
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
女性セブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
現役を引退した宇野昌磨、今年1月に現役引退した本田真凜(時事通信フォト)
《電撃引退のフィギュア宇野昌磨》本田真凜との結婚より優先した「2年後の人生設計」設立した個人事務所が定めた意外な方針
NEWSポストセブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
「ホテルやネカフェを転々」NHK・林田理沙アナ、一般男性と離婚していた「局内でも心配の声あがる」
NEWSポストセブン
猛追するブチギレ男性店員を止める女性スタッフ
《逆カスハラ》「おい、表出ろ!」マクドナルド柏店のブチギレ男性店員はマネージャー「ヤバいのがいると言われていた」騒動の一部始終
NEWSポストセブン
【中森明菜、期待高まる“地上波出演”】大ファン公言の有働由美子アナ、MC担当番組のために“直接オファー”も辞さない構え
【中森明菜、期待高まる“地上波出演”】大ファン公言の有働由美子アナ、MC担当番組のために“直接オファー”も辞さない構え
女性セブン