早朝番組の強み
世の中の動きが速く、多様な情報が溢れるなかで、鎮目氏は「早朝の情報番組」に注目する。
「最近の番組は放送時間がそれなりに長くても話題のニュースに時間を割く作りで、たくさんのテーマを取り上げているわけではありません。
意外かもしれませんが、早朝の情報番組はあらゆるジャンルや地域のニュースを数多く取り上げています。とりわけ充実しているのが朝4時55分からの『めざましテレビ全部見せ』(フジ系)で、何十項目ものニュースをコンパクトにわかりやすく紹介しています。早起きする必要がありますが、今、世の中で起きていることをまんべんなく知りたい人にお勧めです」
地方のニュースを伝えられることも支局や系列局を持つ地上波の強みだろう。とりわけ出色は『列島ニュース』(NHK)だ。
「NHKの凄いところは全国に張り巡らされた取材網で、どのテレビ局や新聞社よりも多くの記者が各地に散らばっていて、毎日その地域のニュースを作っている。『列島ニュース』はそうしたローカルニュースをピックアップして紹介する番組で、少し地味に見えるかもしれませんが、ほぼ知られていない地方の話題が豊富で僕も毎日チェックしています。
放送枠が減ったテレビ局が地方のニュースをあまり取り上げないなかで、記者たちが現地で深く取材したニュースを観ることができます」
ドキュメンタリー番組で鎮目氏が「圧倒的」とするのは、『NNNドキュメント』(日テレ系)。
「毎日のようにニュースが溢れているなかで、過去に起きた出来事について振り返ることはなかなかできません。ですが、地方局のテレビマンたちは追いかけ続けている。同番組は日テレ系列局の記者が長期的に取材したテーマを届けます。“あれってどうなったの?”という出来事や人物の『その後』を伝えてくれる。これもテレビだからこそできるコンテンツです」
※週刊ポスト2024年2月9・16日号