高校生たちのアイデアはどれも評価が高かった
次のグループは検査を受ける場所に着目し、「家庭訪問」「コンビニに検査場所を併設」など、忙しくても短時間で効率よく検査を受けられる身近なスポットを提案した。徳光は即座に「私たちが『知って、肝炎プロジェクト』でいちばん伝えたいことが、検査の大切さなんです」と声を上げて、
「肝炎はなぜ怖いかというと、肝臓は“沈黙の臓器”と言われて痛さやつらさなど、症状があまり表に出てこないからなんです。肝炎ウイルスに感染しても症状がないまま重病に至ってしまう。そのために検査が重要で、早期検査・早期発見をすることでリスクを回避することができます。検査結果を知ることが怖いという意見はとても多いですが、逆に自分の健康状態を知ってホッとする、知ることで元気になることもあります」
と、力説。さらに、おしゃれ目的のタトゥーやピアスでも針の衛生状態で肝炎ウイルスに感染するリスクがあると注意を促し、肝炎を他人事だと片づけず若いうちに受検する意味があると、強調した。徳光の助言を受けて佐藤三兄弟は、「ぼくたちが大学生で検査を受けた際は、“肝炎ってなんだろう”というところから始まりました」と実体験を告白。
「コンビニで受けられるというのは、大人にはないフレッシュな発想でとても勉強になりました。どの世代も利用するコンビニで検査ができたら画期的です。最初のグループが発表したポスターをレジ横に貼れば肝炎について啓発できますし、興味を持った人がそのまま検査できる体制があったら早期発見につながり、みんなの健康に役立つと思いました」(三男・嘉人)
最終グループは、ポイントサービスを好む日本人の国民性をクローズアップ。検査にポイント制度を導入するアイディアを明かし、特別講師の一同をうならせた。検査意欲を高めるために受検や紹介をポイントにして電子決済に紐づけ、飲食店やコンビニで利用できる“おトク感”をアピール。世界で展開している通販サイトが日本国内だけにポイント制を導入していることなどを挙げ、説得力を持たせた。マイナポイントの例などを引き合いに徳光は、「楽天の三木谷さんやソフトバンクの孫さんに、あたかも自分が考えたかのように話してみたいほど見事な案だった」と、舌を巻いた。
各グループの発表を終え、徳光はどの案も採用したいものばかりだったと、生徒たちを絶賛。授業に参加した生徒たちも、肝炎を理解して自分の健康を考える良いきっかけになったと、充実した表情を見せた。佐藤三兄弟の次男・颯人は「皆さんの考えを知れて、肝炎について若い方々が発信していく世の中になったらいいなと思いました」と感想を述べ、自分たちも今日の経験を生かして働きかけに、より一層励みたいと語った。
徳光にとって念願の来校だった

