ライフ

たった1人で「追う・撃つ・獲る」 “単独忍び猟”の魅力とは?【連載・元NHK自然番組ディレクターが明かす「僕が猟師になったワケ」】

見えない獲物の姿を心に描きながら、一人で山に分け入る単独忍び猟

見えない獲物の姿を心に描きながら、一人で山に分け入る単独忍び猟

「ダーウィンが来た!」などNHKの自然番組を制作していたディレクターが昨年、NHKを辞めて「猟師」になる道を選んだ。狩猟には、「銃猟」「罠猟」「網猟」などがあるが、元ディレクターが選んだのは「銃猟」。その中でも、一人で山に入り、一人で仕留め、一人で解体・運搬までを行う「単独忍び猟」をやっているという。何が彼を突き動かしたのか?

 元ディレクターの黒田未来雄氏がその経緯を明かすシリーズの第3回。単行本『獲る 食べる 生きる 狩猟と先住民から学ぶ“いのち”の巡り』より抜粋・再構成。

 * * *
 鹿を撃つ経験を少しずつ重ね、心に余裕が出てくると共に、当初は頭数ばかり気になっていたのが、徐々に獲り方が重要になってゆく。

 銃猟の中にも、様々なスタイルがある。

 獲物を追い立てる勢子(せこ)と、それを待ち構える射手(しゃしゅ)が力を合わせて行うグループ猟もあれば、犬を使う人もいるし、一人だけで山に入る単独猟もある。車で広範囲を走り回って獲物を探す方法は流し猟、自分の足で山を歩くのは忍び猟という。そしてそれを一人で行うのが「単独忍び猟」。自然と近しく触れ合うことができるという点では、最も優れていると感じている。

 僕にとって、徐々にこの単独忍び猟にのめり込むようになるのは、自然なことだった。

 何をするにも自分一人。解体に手を貸してくれる人はいないし、肉の運搬は本当に骨が折れる。その代わり、他人に気を遣う必要はない。獲れても獲れなくても、全部が自己責任。喜びも悔しさも、一切合切を独り占めだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン