一方、“令和”のテレビ番組ではプロデューサーの栗田一也(山本耕史)が司会の代役を務めることになった八嶋智人(役名も同じ)の言動にダメ出しを連発し、番組内での謝罪を繰り返し求める。
八嶋が女性出演者たちに「かわいい〜」と言うと「それ、セクハラです!」。「チョコを渡す相手はいるのかな?」と発言すると、「暗に恋人の有無を聞き出そうとしているのでセクハラ!」と指摘する。八嶋はCM明けのスタジオで謝罪を繰り返す。
「さきほど不適切な発言がございました。おわび申し上げます」
「訂正しておわびします」
「申し訳ありませんでした」
番組では、“昭和”のテレビの司会者ズッキーの自由奔放な(現代の感覚では)「セクハラ」な言動と“令和”のテレビでの八嶋の「おわび」が交互に繰り返される。
ドラマの途中で毎回登場するミュージカル場面では、令和のテレビがハラスメントを気にしすぎてつまらなくなったことが歌と踊りで表現される。
「ミニスカートを穿いた女子を見るか」「胸の谷間を見るか」をテレビ人たちが自問自答する。見るという本音の声を聞いてプロデューサー役の山本耕史が歌う。「それもハラスメント〜」「もはやハラスメント〜」「誰が決めるハラスメント〜」。
テレビ局員たちが合いの手を唱和する。「あんた気にしすぎ〜」「だからテレビつまらない〜」。
セクハラ認定のオンパレードに業を煮やした八嶋智人が締め括るオチだ。「ガイドライン、決めてくれ〜」。
“昭和”のテレビが自由奔放さとセクシー要素を容認していた姿。結果的に(今の基準で見れば)ハチャメチャで不謹慎な面が多いものの「勢い」「熱気」「エネルギー」などがほとばしっていた。
“令和”のテレビはコンプライアンス重視で「訂正」「謝罪」を繰り返して息苦しい。それが対比的に描かれている。ハラスメントがないようにと注意するばかりで自ら考えずにマニュアルに従い、かえってツマラナイものになったという問題提起が伝わってきた。