しかし、引退後に自分のお金を使い込まれていたことが発覚した新庄監督と、現役中に大金を盗まれた大谷とでは、かなり状況が異なる。
「引退して時間がある状況でのトラブルであれば、いろいろと対処できますが、大谷選手の場合、まずはプレーに専念する必要がある。そういったなかで、捜査への協力などもしていかなければならないとなると、負担はかなり大きいでしょう。少しでも調子が悪かったら“一平のせいだ”と言われるだろうし、いずれにしろプレーに集中するのは簡単ではないですよ」
大谷としては“できること”が少ない
そして、現地アメリカでは大谷の関与を疑う声も少なくない。
「記者会見で質疑応答をしなかったこともあり、大谷選手の説明不足を指摘するメディアもあります。正直なところ、まだ身の潔白を証明できてはいない。そういった面で、かなりダーティーなイメージがついてしまったのも事実です。プレーで納得させるのか、あるいは捜査の結果を待つのか、とにかくネガティブな動きを跳ね返さなければならないわけです。
また、大谷選手はもともと真面目で、完璧な人物というイメージなので、破天荒な言動を繰り返してきた新庄監督と比べるのはちょっと“難しい”部分もあります。新庄監督は、被害にあったことが日本に帰ってくるきっかけとなったとポジティブに話していますが、大谷選手の場合は、簡単にポジティブに変換しにくい。違法なブックメーカーにお金が流れていたということは、反社会的組織の資金になっている可能性もあるわけで、単なる横領や窃盗とは色合いが少々異なる。だからこそ大谷選手の言動も慎重にならざるを得ないし、そのせいでまた疑念を生んでしまう。大谷選手としては“できること”が少ない現実もあり、余計にもどかしい状況になっているといえます」
大谷にとっての試練はまだまだ続きそう。こんな状況だからこそ、新庄監督のポジティブさを参考にするしかないのかもしれない。