HYの名曲「366日」に着想を得たラブストーリー
配信に強く、多彩な角度から稼げる
さらに大きかったのが、配信再生数が評価指標として認められるようになったこと。無料配信での広告収入はもちろん有料会員の誘客や海外配信なども含め、下がった放送収入を補うために配信で見てもらうことの重要性が急速に増しています。
その点、ラブストーリーは配信に強く、たとえば『真夏のシンデレラ』の再生数は“フジテレビ開局65周年特別企画”の大作『風間公親-教場0-』を上回ったと言われています。加えてラブストーリーはネット上の話題性も高いため、企業コラボ、スピンオフや映画の制作、イベントやグッズなどの収入に期待できることも魅力の1つ。放送に限らずさまざまな角度から稼げるコンテンツとして再評価されているのです。
そしてフジテレビが「ラブストーリーを放送するならどのドラマ枠がいいか」と考えたとき、「人々の中にまだイメージが残っている月9がベスト」と考えるのは自然でしょう。
現在フジテレビ制作の主なドラマ枠は、月曜21時台、水曜22時台、木曜22時台、金曜21時台の4枠ありますが(月曜22時台はカンテレ制作)、月曜21時台ならラブストーリーに特化しているTBSの火曜ドラマ(22時台)に先行放送することができます。
逆に残り3つのドラマ枠はラブストーリーのイメージが薄い上に、「TBSの火曜ドラマを見たあと」という不利な視聴環境になるため、やはりフジテレビがラブストーリーを放送するなら月9がいいという判断になるのでしょう。
月9のラブストーリーは半分程度
振り返ると昨夏の『真夏のシンデレラ』まで月9ドラマがラブストーリーから離れていた5年3か月間も決してあきらめていたわけではなく、あくまでブランドイメージを回復するための期間だったのでしょう。「ラブストーリーが数字を取れない今、無理に放送するより手堅いジャンルでブランドをキープしよう」という編成戦略は理にかなっています。
