ライフ

【新刊】父母会の上下関係、ブラック校則、監督への上納金…大人の事情も面白い母親目線の野球小説『アルプス席の母』など4冊

 ゆったりできるゴールデンウイークこそ、読書に没頭できるチャンス。そこで、おすすめの新刊を紹介する。

甲子園を目指して白球を追う子らを、母親目線で描く野球小説の新境地

甲子園を目指して白球を追う子らを、母親目線で描く野球小説の新境地

『アルプス席の母』/早見和真/小学館/1870円
 神奈川に住む秋山菜々子は甲子園を目指す航太郎と2人暮らし。航太郎に実力上昇中の大阪・羽曳野の高校から特待生の声がかかる。看護師はどこでもできると、菜々子は転居を決意。野球部寮の近くに住まいを借りてその成長を見守る。父母会の険のある上下関係、ブラック校則のような観戦時のルール、監督への上納金集めなど、熱血野球小説には登場しない大人の事情が面白い。

表紙はラウシェンバーグの抽象画。色や線が醸し出す構造のリズムが楽しい

表紙はラウシェンバーグの抽象画。色や線が醸し出す構造のリズムが楽しい

『センスの哲学』/千葉雅也/文藝春秋/1760円
 ここでいうセンスとは芸術作品に宿るセンス(感覚)のこと。文学や映画や美術に大きな意味を探さず、まずはリズムを感受しようと言う。現代音楽など予測を超えるものは時に人を不安にさせるが、その誤差が享楽の本質。予測不能な複雑な高級料理を「一種の闇鍋」とする見解には笑った。その上でアンチセンスに着地する結論に大いに納得。まだAIが追いつけない人間の領域だ。

読みやすい・知識が増える・提言がある。新書の三大美点を備えた社会学の精華

読みやすい・知識が増える・提言がある。新書の三大美点を備えた社会学の精華

『結婚の社会学』/阪井裕一郎/ちくま新書/1100円
 日本の家族観の中心に居座る結婚という制度。異性愛限定のこの結婚観を溶かせば共生の世界はもっと広がる。歴史も学べるそんな本。去る3月、札幌高裁が同性婚訴訟で下した違憲判決、4月に示された現行の夫婦同一姓が続けば500年後は全員「佐藤さん」になるという愉快な試算。本書を読みつつ未来を夢見た。ヨボったとき友情婚とか助け合い婚とか選択肢があるといいなあ。

本誌連載のエッセイほか、ファッション誌コラムも加えて大増量

本誌連載のエッセイほか、ファッション誌コラムも加えて大増量

『吉祥寺ドリーミン てくてく散歩・おずおずコロナ』/山田詠美/幻冬舎文庫/957円
 料理上手の詠美さん。生もやしに熱々の塩ラーメンを注ぎ、パクチーをのせて心は東南アジアへ。そんな創意工夫も楽しいが、2024年の今、歴史が繰り返すことにも震撼する。復興五輪が新型コロナに克つ五輪にすり替わったように、大阪万博は言葉だけ能登半島復興の日本博に。都知事の学歴疑惑も再燃。数年でまたこの手品!? ナメられてますね、私達。そんな話をしたくなる。

※女性セブン2024年5月9・16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

本来であれば、このオフは完成した別荘で過ごせるはずだった大谷翔平(写真/アフロ)
《大谷翔平のハワイ訴訟問題》原告は徹底抗戦、大谷サイドの棄却申し立てに証拠開示を要求 大谷の“ギャラなどの契約内容”“資産運用の内幕”が晒される可能性も浮上 
女性セブン
表舞台から姿を消して約1年が経つ中居正広
《キャップ脱いだ白髪交じりの黒髪に…》「引退」語った中居正広氏、水面下で応じていた滝沢秀明氏からの“特別オファー” 
NEWSポストセブン
1990年、聖ワリシイ大聖堂がそびえるモスクワの赤の広場で(撮影/太田真三)
【落合信彦さん・追悼グラフ】ロシア、ウクライナ、エルサレム、ペルー…サッチャー氏やスー・チー氏にもインタビュー 稀代の国際ジャーナリストの足跡を秘蔵写真で辿る
週刊ポスト
弾圧されるウイグルの人々(日本ウイグル協会提供)
【中国・ウイグル問題】「子宮内避妊具を装着」「強制的に卵管を縛る…」中国共産党が推進する同化政策・強制不妊の実態とは…日本ウイグル協会・会長が訴え
NEWSポストセブン
中村獅童と竹内結子さん(時事通信フォト)
《一日として忘れたことはありません》中村獅童、歌舞伎役者にならなかった「竹内結子さんとの愛息」への想い【博多座で親子共演】
NEWSポストセブン
週末にA子さんのマンションに通う垂秀夫氏
垂秀夫・前駐中国大使が中国出身女性と“二重生活”疑惑 女性は「ただの友達」と説明も、子供を含む3ショット写真が本物であることは否定せず 現役外交官時代からの関係か
週刊ポスト
青木淳子被告(66)が日記に綴っていたという齋藤受刑者(52)との夜の情事を語ったのはなぜなのか
《不倫情事日記を法廷で読み上げ》「今日は恥ずかしいです」共謀男性社長(52)との愛人関係をあえて主張した青木淳子被告(66)が見せていた“羞恥の表情”【住職練炭殺人・懲役25年】
NEWSポストセブン
強盗の現場付近を捜査する職員ら(時事通信)
《上野4億円強奪》背後に浮かぶ「金密輸」と「香港のマフィア組織」…裏社会ジャーナリストが明かす「マネーロンダリング」のリアル
週刊ポスト
六代目山口組の司忍組長も流出の被害にあった過去が(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長の誕生日会》かつては「ご祝儀1億円」の時代も…元“極道の妻”が語る代替わりのXデー 
鵠祥堂の代表・齋藤受刑者(右)と役員・青木被告が共謀した(Xより)
〈ベットで抱き合って、お尻にキス〉住職を練炭で殺害した青木淳子被告(66)が共謀の会社代表男性(52)との“不倫情事日記”を法廷で読み上げた“意外なワケ”【懲役25年】
NEWSポストセブン
ドイツ女子ボブスレー代表選手のリザ(インスタグラムより)
【ミラノ五輪の裏事情】「遠征費のために…」女子金メダリストが“ポルノ”SNSで資金調達で波紋「同ケース相次ぐ」 
NEWSポストセブン
大谷の2026年シーズンが始まった(時事通信/Aflo)
《半袖&短パンでエグい二の腕があらわに》大谷翔平が自主トレ初日に見せたムキムキボディー、注目される“真美子さんのアリゾナ入り”…メジャーでは「家族と共にキャンプイン」も一般的
NEWSポストセブン