キュートなビジュアルからトロットの女神と呼ばれるホン・ジニョン(共同通信社)

キュートなビジュアルからトロットの女神と呼ばれるホン・ジニョン(共同通信社)

YouTubeで積極的に展開

 トロットがあらゆる世代に広まったのは、SNSの影響もあるのではないかと、トロットファンで京都府在住の主婦・Kさんは言う。

「トロット歌手の中には日本でCDデビューしている人もいますが、ほとんどの楽曲が韓国でリリースされて、歌も韓国語で歌われています。

 iTunesやAmazonプライムのような音楽配信サービスでも聴くことができますが、何と言ってもハマるのが、YouTubeです。歌手個人や所属レコード会社の公式チャンネルからも見られ、個性的なものが多い! 私の推しであるイム・ヨンウンさんが公開した楽曲『砂粒』のミュージックビデオは20億4000万回以上再生されています」(Kさん)

BIGBANGのD-LITEは「両親が昔からトロットが好きで、自分もトロットを聴いて育った」と語っている

BIGBANGのD-LITEは「両親が昔からトロットが好きで、自分もトロットを聴いて育った」と語っている(写真/アフロ)

 特にコロナ禍は巣ごもり需要もあり、爆発的にYouTubeの再生回数が伸び、最近はシニアでもYouTubeから情報を得ている人が多い。

「コロナ禍の韓国は、日本以上に外出制限が厳しかったので、若い人だけでなく中高年も動画サイトを見て、おうち時間を過ごしていたので、トロットにハマる人が続出したように思います」(MARIKO)

 一方、「若者はTikTokを通じて韓国の昔のトロットを知る機会が多い」とチョンさんは言う。

「若い人が昔の曲をいま風にアレンジしたものをBGMにしてダンスをしている動画がTikTokでバズったことも大きかったですね。これをきっかけにして、さらにトロットに興味を持つ人が増えたように思います」(チョンさん)

 韓国国内だけでなく、ワールドワイドに人気が広がりつつあるトロットだ。

日本でもトロット番組がある?

プロデューサーのチョン・ファンさんは『PRODUCE 101&PRODUCE 101 JAPAN 』を発案、企画責任者を務めた

プロデューサーのチョン・ファンさんは『PRODUCE 101&PRODUCE 101 JAPAN 』を発案、企画責任者を務めた(撮影/浅野剛)

 トロットの波は日本にも確実に来ている。2023年末に、日本でもトロットを歌う女性歌手のオーディション番組『トロット・ガールズ・ジャパン』が日韓共同制作でスタート。12〜50才までの54組57名が激しいバトルを繰り広げ、決勝には9名が進出。

 そのなかから日本人のアイドル歌手の福田未来(29才)が2月23日に『私の歌』などを歌い、初代歌姫に選ばれた。オーディションの様子はYouTubeでも公開され、最高122万回以上の再生回数を記録している。

『トロット・ガールズ・ジャパン』を勝ち抜いたnatsuco、MAKOTO.、住田愛子、福田未来、かのうみゆ、歌心りえの7人は、韓国の音楽番組『日韓歌王戦』に日本代表として出場。4月から放送が始まったが、初回は11.9%と高視聴率を記録。日本でもWOWOWとABEMAで放送中だ。

『トロット・ガールズ・ジャパン』を勝ち抜いたnatsuco、MAKOTO.、住田愛子、福田未来、かのうみゆ、歌心りえの7人

『トロット・ガールズ・ジャパン』を勝ち抜いたnatsuco、MAKOTO.、住田愛子、福田未来、かのうみゆ、歌心りえの7人(撮影/浅野剛)

(第3回へ続く。第1回から読む

取材・文/廉屋友美乃

※女性セブン2024年5月30日号

のど自慢が生んだスターの異名をとるパク・サンチョル(55才)(共同通信社)

のど自慢が生んだスターの異名をとるパク・サンチョル(55才)(共同通信社)

韓国の歴史とトロット

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