2匹仲良くしてほしいと考えての名付けだったが(イメージ)
「たいしたもんだよ一平ちゃんは」
保護犬を迎えている別の知人の実家にも、翔平と一平と名付けられた犬たちがいる。この問題について聞くと、「そうなんだよね」と苦笑い。翔平は問題ないのに、なぜか一平の失敗ばかりが目につくようになったという。犬は変わらないのに飼い主側にフィルターがかかったのだ。トイレを失敗すれば家族から「一平と名付けたからだ」と言われ、家の柱や家具を噛んでボロボロにすれば「やっぱり一平はダメだ」と叱られる。自分ばかりが怒られれば面白くないのは犬も人間も同じで、一平はどんどん拗ねていく。一時は名前を変えることも考えたが、一平と呼ぶと尻尾を振って走ってくる愛犬の姿に改名は断念、今は”イッちゃん”と呼んでいる。
愛犬家の元組長の姐さんにこの話をすると、「いい名前じゃないの。変える必要がどこにある? 26億円も騙し取るなんて、普通のヤクザでもできるものじゃない。たいしたもんだよ一平ちゃんは。それもやったのが違法賭博だよ。ヤクザの中には、一平ちゃんに対して親近感がわいた者も多いだろうね」という。どうやら彼らの業界では、メジャーリーグという遠い世界にいた水原被告が、今は自分たちに近い存在だと受け取られているらしい。そう言われれば違法賭博事件が明らかになって以降、水原被告を”一平ちゃん”と呼ぶヤクザが多くなった気がしないでもない。
前出の、愛犬の一平を”イッちゃん”と呼ぶようになった知人によると、最近は愛犬たちを公園に連れていくと、犬友たちからこんな声がかかるようになってきたという。「強く生きるんだよ一平」「いじけずに頑張るんだよ一平」。それに応えるように一平は、尻尾を元気よく振っている。
