スポーツ

【セルフジャッジ競技の立会人】知られざる「ゴルフ競技委員」のお仕事「ツアー63試合を15人でカバー」「朝5時集合でコース確認」

全米女子オープン第1ラウンドをプレーする畑岡奈紗。8日の第2ラウンド開始前に失格となった(AFP=時事)

米国女子ツアー「ショップライト・クラシック」でプレーする畑岡奈紗。初日4位と好スタートを切ったものの、第2ラウンド開始前に失格となった(AFP=時事)

 スコアもペナルティも選手自身による自己申告に基づくゴルフ競技だが、そのルールは複雑なうえに頻繁な改訂が行われている。加えて、自然環境のもとでプレーするゴルフでは想定外の事態が起きることもしばしば。米国女子ツアーでは畑岡奈紗が誤所からのプレーによるスコア誤記で失格となった。畑岡のケースは、初日にブッシュに打ち込んだボールの捜索が制限時間3分を超過していたことが、中継していたテレビスタッフからの指摘で明らかになり、翌日(2日目)の競技開始直前に失格を告げられるという、何とも複雑な経緯だった。

 裁定は大会の「競技委員」に委ねられるが、プレー中の選手をサポートし、競技規則をもとに大会の円滑な進行・運営を司る「競技委員」とはどのような存在なのか。その知られざる役割について、JLPGA競技委員の門川恭子氏に、『審判はつらいよ』の著者・鵜飼克郎氏が聞いた。(全4回シリーズの第1回。文中敬称略)

 * * *
 ゴルフ規則では委員会を「競技またはコースを管理する人、またはグループ」と定義している。そのため競技委員の仕事内容は多岐にわたる。シーズンが始まるとほぼ毎週のように全国各地で試合が開催される。選手と違って予選落ちがない競技委員のスケジュールは多忙を極める。

 2024年のJLPGAツアーは沖縄で開催される「ダイキンオーキッドレディス」(3月)を皮切りに、「ツアーチャンピオンシップリコーカップ」(11月)まで37試合あり、加えてステップアップツアー20試合とレジェンズツアー6試合がある。この63試合すべてを約15人の競技委員でカバーし、基本は競技委員長1人を含む6人1組で1つの大会を担当する。

 1996年のプロテストに合格し、ステップアップツアーでの優勝経験もある元ツアープロで、2012年からJLPGAの競技委員を務める門川恭子が言う。

「さらにプロテストやQT、小学生の大会もあるので、全員がフル稼働しても足りず、4人や5人でカバーすることもあります。おおよそ月に1回程度の空き週(休み週)ができるようなシフトになっています」(以下同)

 1週間のスケジュールもタイトだ。4日間競技では火曜日が公式練習日、水曜日にプロアマが開催される。試合は木曜日と金曜日の2日間が予選ラウンドで、土曜日と日曜日が決勝ラウンドだ。

「6人のうち2人が月曜日から現地入りし、あとの4人は水曜日に合流します。マンデー(月曜日開催の予選会)があれば、先乗りする2人は前日の日曜日にコース入りしますから、最終日の日曜日まで8日間もコースにいることになりますね」

関連記事

トピックス

「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン