スポーツ

【竹原慎二の元ライバル】「止められる悔しさ」を知るレフェリーはなぜ「ストップ」が早いのか トップ選手だから見抜ける「ボクサーのダメージ」とは

(時事通信フォト)

WBAスーパーフライ級王者の井岡一翔。2団体統一王者なるか(写真は2023年大晦日の防衛戦。時事通信フォト)

 ボクシングのWBA世界スーパーフライ級王者の井岡一翔が、2団体(WBA・IBF)統一王者を目指すタイトル戦が7月7日に開催される。井岡が勝てば、スーパーバンタム級主要4団体統一王者の井上尚弥、ライトフライ級2団体統一王者の寺地拳四朗に次ぐ3人目の現役統一王者の誕生となる。

 その勝負の帰趨に大きく関わるのが選手と同じリング上で試合をさばくレフェリーだ。「選手の命を守る最後の砦」という重責を担うレフェリーは、時にはパンチを交わす2人の間に割って入り、試合を止めることもある。日本のボクシングジム所属として初めてJBC(日本ボックシングコミッション)の外国人レフェリーとなったビニー・マーチン氏(元日本チャンピオン)に、スポーツを長年取材する鵜飼克郎氏が聞いた。(全3回シリーズの第2回。文中敬称略)

 * * *
 JBCの外国人レフェリー、ビニー・マーチンは元プロボクサーで、27戦18勝(7KO)7敗2分の戦績を持つスーパーウェルター、ミドル両級の元日本王者でもある。

 デビューはミドル級で、同時期に同じ階級でデビューしたのが竹原慎二。のちに無敗のまま世界チャンピオンになった天才ボクサーとの初対戦はデビューした1989年の暮れ、東日本新人王決定戦だった。マーチンは判定負けを喫した。3年後の1992年8月に日本ミドル級タイトルマッチの挑戦者として竹原に挑むが、またしても判定負け。竹原は3度目の王座防衛を果たした。

 竹原が4度目の防衛後に王座を返上したことで、日本ミドル級王者の挑戦権を手にしたマーチンは、1993年4月に日本ミドル級王座決定戦でKO勝ち。日本ボクシング界初のガーナ人王者となった。この快挙は母国の新聞にも大きく載った。

 だが、4か月後の初防衛戦に敗れて王座陥落。直後に交通事故でむち打ちになってしばらくリングに上がれなかったが、マーチンは諦めなかった。ジュニアミドル級(現スーパーウェルター級)に階級を下げて復帰すると、交通事故から3年後の1996年6月に日本ジュニアミドル級の王座決定戦で判定勝ちし、2階級を制した。竹原がWBA世界ミドル級の初防衛戦前の公開スパーリング相手にマーチンを指名したことも話題になった。

 1998年に現役を引退後、彼が次に選んだのがレフェリーとしてのボクシング人生だった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
松本智津夫・元死刑囚(時事通信フォト)
【オウム後継「アレフ」全国に30の拠点が…】松本智津夫・元死刑囚「二男音声」で話題 公安が警戒する「オウム真理教の施設」 関東だけで10以上が存在
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
9月1日、定例議会で不信任案が議決された(共同通信)
「まあね、ソーラーだけじゃなく色々あるんですよ…」敵だらけの田久保・伊東市長の支援者らが匂わせる“反撃の一手”《”10年恋人“が意味深発言》
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
8月に離婚を発表した加藤ローサとサッカー元日本代表の松井大輔さん
《“夫がアスリート”夫婦の明暗》日に日に高まる離婚発表・加藤ローサへの支持 “田中将大&里田まい”“長友佑都&平愛梨”など安泰組の秘訣は「妻の明るさ」 
女性セブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン