辞めずに手にした「4888万円」

 尋問の途中で、「立っていいですか?」と言い出して起立した吉川氏は饒舌だったが、ホテルでの出来事に話が移ると、「関係ないと思います。本裁判に」と証言を拒否。裁判長が異議を却下し、答えるよう促された。

 その後は自らホテルに行くことを提案し、部屋を取ったと認め、「ホテルに入った後、性行為をしたくなったんですか」との問いに渋々、「そうです」と認めた。

 そして客室内でのXさんの性行為経験などをめぐるやり取りについて訊かれると吉川氏は突然、「四角い卵と遊女の誠あれば晦日に月が出る」と諳んじ、こう続けた。

「そういう川柳が昔からありますが、あくまでこの方は夜働いている女性の方ですので、性経験またそういったものを含めて、私はすべて真実だと受け止めての会話はしておりません」

 大辞泉によると、〈卵の四角と女郎の誠〉〈女郎に誠があれば晦日に月が出る〉のことで、〈遊女が誠意をもって接するはずがないことのたとえ〉(同)のつもりだったようだ。

 客室で過呼吸にまでなった18歳のXさんを「女郎」「遊女」に喩えて、〈誠意をもって接するはずがない〉と主張したわけだ。

 そうして本誌の取材行為で人格権が侵害されたと主張した吉川氏だが、判決では〈国民から信託を受けた国会議員である原告(吉川氏)が20歳未満の者と飲酒及びパパ活に及んだことを報じたものであるが、これが事実であるとすれば原告の国会議員として適格性を疑わせる事実となり得るものである〉として、本誌の報道は〈公共の利害に関する事実に係るものであり、かつ、専ら公益を図る目的で掲載されたもの〉と認められた。争点となったXさんの年齢も〈本件当日の時点で18歳であり、原告(吉川氏)もその旨を認識していた〉と認められ、「設定」に合わせて振る舞ったという吉川氏の主張は退けられた。

 吉川氏は本誌の取材手法も問題があるとしていたが、Xさんと食事を共にし、飲酒やホテルでの行動は、〈いずれも原告が主体的かつ積極的に行ったものであり、本件女性による誘因行為等があったとは認め難い〉として、吉川氏の請求はいずれも棄却された。

 なお、記事掲載時の取材で吉川氏は4万円を渡したこともホテル滞在も否定していたが、裁判を通じて自らそれが事実だと認めた。

 本誌がパパ活飲酒を報じた2022年6月から地裁判決が出た今年7月までに吉川氏が手にした報酬は「歳費が3312万6400円、期末手当(ボーナス)は1576万0919円で、総額4888万7319円」(衆議院広報課)だ。他に毎月100万円の調査研究広報滞在費も支給された。原資はすべて国民の税金だ。はたしてこの2年2か月は、有権者にとって必要な歳月だったのだろうか。

 説明責任を果たすことなくブログで〈(訴訟を通じて)疑義が解消された暁には、身の処し方について速やかに判断させていただく所存〉としていた吉川氏だが、本稿の締め切り前に控訴した。

 地元選挙区(静岡5区)で4連敗しながら党の力で比例復活させた自らの子飼いの議員に対し、離党後は何も関わろうとしない岸田首相の無責任さもまた、言うまでもない。

※週刊ポスト2024年8月16・23日号

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