デビュー50年

周囲からのすすめで、誕生日にデビュー50周年記念イベントを開催した浅田(2024年2月)

防犯カメラに映った真犯人

 長く住み慣れた住人さえ恐怖に耐えきれず退去する異常事態。だが浅田にはこのマンションを離れられない大きな理由があった。

「じゃあ、決まり。美代ちゃん、ここを買おう」

 浅田のマンション購入は、樹木希林さん(享年75)のこの一言で決まった。浅田が17才でデビューしたドラマ『時間ですよ』(TBS系)での共演をきっかけに交流が始まった2人。2001年に最愛の母を亡くし、失意に沈む浅田に「家を買いなさい」と説いたのは樹木さんだった。

 もともと樹木さんは無類の“不動産好き”で、あらゆる物件を見て回ったり、他人の家に押しかけて内覧することをライフワークにしていた。新築よりヴィンテージマンションを好み、「古いマンションは運気や立地がよく、建物の造りがしっかりしている」などと語っていたという。そんな樹木さんが「ここはすごくいいの」と購入を強くすすめたのが、現在浅田が住むマンションだ。

「当時の浅田さんは50才の手前。『まだ賃貸でいい』と渋る浅田さんに『60才過ぎたら誰も貸してくれないよ』と背中を押したのが希林さんでした。しっかり者の希林さんは浅田さんに大きな仕事があるたびにローンの繰り上げ返済をすすめ、浅田さんがローンを完済するときは銀行までついて行って、記念写真を撮ったほどです」(浅田の知人)

 浅田がマンション駐車場に止めている2台の自家用車のうち1台も樹木さんにまつわるものだ。

「浅田さんの愛車『バンデン・プラ・プリンセス』は25年ほど前に希林さんからプレゼントされたものです。年代物のイギリス車で当時、お母さんの入院先に大きな車で通っていた浅田さんを気遣い、希林さんが小回りの利く自分の車を譲りました。ヴィンテージマンションを好んだことと同様に、希林さんはクラシックな車が好きでした」(前出・浅田の知人)

 浅田にとって46年にわたって苦楽を共にした樹木さんは芝居の師匠であり、同志であり、そして母のような存在でもあった。全身がんを公表した樹木さんの最後の1か月間、浅田は毎日のように樹木さんを見舞った。それだけに、樹木さんが遺したものを浅田が簡単に手放せるはずがなかったのだ。

「浅田さんは“ものの命を大切にして最後まで使い切る”という希林さんの精神を深く尊敬しています。マンションは希林さんが後押ししてくれた“終の棲家”ですし、希林さんから譲り受けた車は維持費がかかるのに25年も乗り続けています。どちらも浅田さんにとっては、希林さんの息遣いを感じる“形見”のような宝物なんです」(前出・浅田の知人)

 7月17日、マンションの管理組合が男性を訴えた民事訴訟の判決が言い渡された。

「管理組合の主張が全面的に認められ、男性は損害賠償の支払いや敷地内の駐車禁止などを命じられました。また防犯カメラの映像から、エレベーターに白い液体を散布し、管理室の鍵穴に接着剤らしき液体を差し込んだのもこの男性と認定されました。すでに男性は所有していた部屋を売却していますが、判決に不服だったようで、控訴したそうです」(前出・マンション関係者)

 浅田に現在の心境を尋ねると、冒頭のように、揺れる気持ちを短く語ったのだった。9月15日に樹木さんは七回忌を迎える。浅田は墓前に、法廷闘争の行方と、大切な“形見”を守る決意を静かに報告するはずだ。

※女性セブン2024年8月22・29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン