スポーツ

蛯名正義氏が振り返る、メイショウソムリエ勝利までの道「競馬を覚えていくのに時間がかかる馬も多いのです」

メイショウソムリエは父サトノダイヤモンド、母の父ストームキャット。2022年の北海道セレクションセールにおいて2200万円で落札

メイショウソムリエは父サトノダイヤモンド、母の父ストームキャット。2022年の北海道セレクションセールにおいて2200万円で落札

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏は、2022年3月から調教師として活動中だ。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、“競馬を覚えていくのに時間がかかる馬”についてお届けする。

 * * *
 3歳未勝利戦が組まれているのは9月1日まで、つまりあと2週間ほど。しかし、このスケジュールは人間が決めたことで、馬には関係ありません。もちろん勝てそうと思えば照準を合わせますが、あまり期限にとらわれないようにガマンしています。強い馬はあっさり勝ち上がってしまいますが、そういう馬はほんの一握り。競馬を覚えていくのに時間がかかる馬も多いのです。

 たとえばメイショウソムリエという馬は昨年10月、ダート1600mのデビュー戦で出遅れながらも2着になりました。しかし、このレースは勝った馬が強く、それを追いかけた他の馬が失速したことで、後ろから行ったソムリエがいい脚を長く使って2着に上がることができたもの。勝った馬からは1秒以上離されており、持っている能力の一端を見せてくれたものの、次は勝てると太鼓判を押せるほどではありませんでした。

 次のレースでは先行集団につけましたが、流れが速く6着。舞台が中山1800mに替わった3走目はデビュー戦のように控える競馬がこの馬に合って3着。安定して上位に来ているからといって、続けて使うと壊れてしまうこともあるので短い放牧を挟みながら、同じ条件で3着、4着。ジョッキーからはレース後「いい感じだったのに急に止まった。距離が長いのでは?」というようなコメントがありました。

 ならばと、次は1200mに。距離適性は感じさせてくれたものの、前の馬をとらえきれず2戦続けて3着、東京の1400mでも勝ちきれません。この時点で9戦して2着2回3着5回、賞金は1000万円以上稼いでくれましたが、なかなか勝てませんでした。

 何度も2着、3着になったのならすぐにでも勝ち上がれると期待され、人気の中心にはなりますが、そうそう順番に勝っていけるものでもありません。

 そもそも馬というのはあまり先頭に立つのが好きではないのです。群れの中にいるほうが安心できますからね。だからソムリエは馬らしいといえます。

関連キーワード

関連記事

トピックス

東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
渡邊渚さんが綴る「PTSDになった後に気づいたワーク・ライフ・バランスの大切さ」「トップの人間が価値観を他者に押しつけないで…」
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
ルーヴル美術館での世紀の強奪事件は瞬く間に世界を駆け巡った(Facebook、HPより)
《顔を隠した窃盗団4人組》ルーブル美術館から総額155億円を盗んだ“緊迫の4分間”と路上に転がっていた“1354個のダイヤ輝く王冠”、地元紙は「アルセーヌ・ルパンに触発されたのだろう」
NEWSポストセブン
活動休止状態が続いている米倉涼子
《自己肯定感が低いタイプ》米倉涼子、周囲が案じていた“イメージと異なる素顔”…「自分を追い込みすぎてしまう」
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
“ムッシュ”こと坂井宏行さんにインタビュー(時事通信フォト)
《僕が店を辞めたいわけじゃない》『料理の鉄人』フレンチの坂井宏行が明かした人気レストラン「ラ・ロシェル南青山」の閉店理由、12月末に26年の歴史に幕
NEWSポストセブン
森下千里衆院議員(共同通信社)
《四つん這いで腰を反らす女豹ポーズに定評》元グラドル・森下千里氏「政治家になりたいなんて聞いたことがない」実親も驚いた大胆転身エピソード【初の政務三役就任】
NEWSポストセブン
ナイフで切りつけられて亡くなったウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(Instagramより)
《19年ぶりに“死刑復活”の兆し》「突然ナイフを取り出し、背後から喉元を複数回刺した」米・戦火から逃れたウクライナ女性(23)刺殺事件、トランプ大統領が極刑求める
NEWSポストセブン
『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン