立ち合いなしでいきなり四つに組んだ状態からスタートするなど、独自の稽古を採用

立ち合いなしでいきなり四つに組んだ状態からスタートするなど、独自の稽古を採用

 自主性を尊重する。これが力士にとって一番きついのかもしれない。準備時間を考慮して朝食をご飯からスムージーに変更するなど柔軟に軌道修正もする。中村親方はこう締めくくった。

「試行錯誤を繰り返している段階です。相撲の伝統を守りながら自分の形を作っていきたいが、これまでとやり方が違うため強く育てられないとすべて私の責任。批判もあるだろうが、力士ファーストの部屋を目指すことで多くの関取を育てたい」

 先場所では新十両の嘉陽が関取残留を決め、宮城は5勝2敗で幕下上位へ番付を上げるなど、成果が徐々に表れてきた。

 角界の常識を覆す相撲部屋からどのような力士が誕生するか。中村親方の挑戦が始まった。

取材・文/鵜飼克郎 撮影/太田真三

※週刊ポスト2024年9月20・27日号

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