2020年の総裁選に立候補を表明した石破氏の会見には、新聞・テレビのほか雑誌・ネット・フリーランスなども多く参加していた(2020年9月撮影:小川裕夫)

2020年の総裁選に立候補を表明した石破氏の会見には、新聞・テレビのほか雑誌・ネット・フリーランスなども多く参加していた(2020年9月撮影:小川裕夫)

 当時、フリーランスの記者だった筆者は多くのフリーランスと連携・協力し、各省庁の大臣会見を雑誌・ネット・フリーランスにも開放するように各記者クラブや省庁の大臣会見の担当窓口に、いわゆる記者会見のオープン化と言われる提案をしてまわったが、一筋縄ではいかなかった。

 通常、各省庁内の会見室で実施される大臣の定例会見は、会場こそ省庁の管理下にあるが、主催権は各省庁の記者クラブが有している。つまり、大臣は自発的に会見を開催しているのではなく、記者クラブに大臣が呼ばれているという体裁になっている。そのため、筆者が各省庁の担当職員にオープン化を打診しても「私たちには主催権がありませんので……」で話し合いは終了してしまう。一方、記者クラブ側にオープン化を呼びかけても「庁舎の管理権は私たちにはありませんので……」という理由で話し合いにならない。

 そんな堂々巡りの状態は、民主党政権で金融担当大臣に就任した亀井静香氏が打破してしまう。亀井大臣は記者クラブが雑誌・ネット・フリーランスの参加を拒否していることを理由に、記者クラブ主催の会見後に大臣主催の記者クラブに加盟していない記者向けの第2会見を実施。大臣という多忙な身でありながら、会見を2つもこなしていた。以後、原口一博総務大臣(当時)や岡田克也外務大臣(当時)といった大臣会見がオープン化された。そして、首相会見にも雑誌・ネット・フリーランスであっても記者として参加できるようになった。

 首相会見はオープン化されたが、すべての記者が無条件で参加を許されているわけではない。首相会見に参加するには官邸報道室が課した条件を満たしているか、審査を受ける必要がある。審査の結果、的確とみなされた記者は参加資格を得られ、そのうえで、会見が拓かれるごとに参加の申し込みをしなければならない。

 この会見参加資格の継続にも条件がある。直近3か月に毎月1回は新聞協会・雑誌協会・インターネット報道協会などに記事を寄稿しているか、民放連加盟社の番組に出演していなければならない。

 とはいえ、民主党政権になったことで固く閉ざされた首相会見に内閣記者会の記者以外が参加できるようになった。

 このとき野党に転落した自民党も、記者会見について大きな決断をしている。存在感が縮小し、自民党に関する報道が少なくなった状態に危機感を覚えたのだろう、谷垣禎一総裁(当時)の会見がオープン化された。そして、2012年に自民党が政権復帰しても基本姿勢は変わらず、石破茂幹事長の会見は引き続き雑誌・ネット・フリーランス記者も参加できる状態になっていた。しかし、オープン化されていた幹事長会見はしだいに平河クラブ限定の状態に戻っていく。

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