Aさんの体験談によれば、経営者らと現場の関わりはきわめて希薄なものだった

Aさんによれば、経営者らと現場の関わりはきわめて希薄なものだった

職員が足りず負のサイクルに……「ミスも多かった」

 運営に疑問をもちつつ、なんとか状況を改善しようと試みたAさんだったが、現場はいつも混乱していた。

「人手不足と現場任せが相まったんでしょうね。ご飯の進みが悪い入居者さんがいて、食事の提供自体は行っていたのですが、十分に栄養を摂取できていないという日が数日間続いたそうです。

 常に業務を回すのが精一杯ですから、日頃から利用者さんの健康管理を務めるナース にその情報が共有されておらず、結局その方はいわゆる低栄養で亡くなってしまった。低栄養といえば聞こえはいいですが、“餓死”ですよね。10月から12月の間で、似たような事例で亡くなった方が他にも2名ほどいたそうです。

 なかには真面目に働いている人もいるんです。ですが人が足りない、まとめる人間もいない状態で激務が続くと、どうしても現場は荒んでしまうじゃないですか。統制はとれず、上はなにも対策しようとしない。こういった杜撰な運営が、真摯に働くスタッフを離職に追い込み、さらに現場が回らなくなるという負のサイクルを作り出したんだと思います」

 NEWSポストセブンは、運営法人が置かれている東京・中央区の事務所を訪れたが、そこに社長ほか取締役の姿はなかった。後編ではAさんが実際に経験した“金銭トラブル”などについて報じる。

後編に続く)

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