『VS嵐』(フジテレビ系)では普段見られない自然な表情が見られた(写真は2009年)
知名度が上がり、歌唱力への評価が高まることでグループ初となるドームコンサートを東京と大阪で開催。ステージの実績を積みながら若者だけでなく、幅広い世代が彼らを知る契機となったのがテレビの冠番組だ。
なかでも代表作のひとつが2008年4月にスタートした『VS嵐』(フジテレビ系)だろう。ゲスト相手にさまざまなアトラクション勝負やトークを繰り広げる内容で、土曜昼の放送から、翌年に木曜ゴールデンに昇格した。同番組の総合演出を務めたフジテレビの萬匠祐基さんが語る。
「番組の企画当初から“必ずゴールデンに上がる”との思いが強く、嵐とスタッフにそう話していました。初回収録時、スタジオに来た相葉さんが“すごいセットですね!”と言ったことと、収録後に二宮さんが手ごたえを感じた表情で“おもしろかった?”と聞いてきたことを覚えています」
番組を通じて、メンバーが成長していく姿を萬匠さんは見つめていた。
「親子や家族といった老若男女が一同にテレビを見る夜7時の時間帯で12年という長期間にわたって続いたのは、誠実なキャラクターで幅広い年代に愛される5人だからこそでした。櫻井さんは他局の地方ロケに行くと“VS嵐、見ているよ”と年配のかたによく言われたそうで、“VS嵐で覚えられていることが多い”と聞かされたときはうれしかったです」
嵐はスーパーアイドルでありながら、よい意味で「普通の人」だったと萬匠さんは続ける。
「彼らは一般の人と同じような価値観の持ち主です。そうした“普通さ”をトークやゲームの合間に披露してもらい、視聴者の皆さんに身近に感じてもらうよう心がけました。ゲームバラエティーなのでつい熱くなったり失敗してへこんだり、5人がチームワークを垣間見せたりすることなどで、普段あまり見せることがない自然な表情を届けられたのも番組の魅力でした」