スポーツ
江夏豊、球界への遺言

【江夏豊インタビュー】若い才能のある選手のメジャー移籍は「大いに結構」「頑張ってこいよと後押ししたい」 もし大谷翔平と対戦するなら“こう抑える”

野球人・江夏豊が球界に伝えておくべきことを語り尽くす(撮影/太田真三)

野球人・江夏豊が球界に伝えておくべきことを語り尽くす(撮影/太田真三)

「江夏の21球」「オールスター9連続奪三振」……球史に刻まれる数々の名場面を残した男は、76歳になった。今夏には、酸素吸入器をつけた車椅子姿でグラウンドに姿を見せ、ファンに動揺が走った。それ以降、公に姿を見せていない“伝説の左腕”は今、野球人生をどのように振り返るのか。野球人・江夏豊が、球界に伝えておくべきことをすべて語り尽くした。《聞き手/松永多佳倫(ノンフィクション作家)》【全3回の第1回】

応援されない立場でメジャーへ挑戦した身

 夏に開催された巨人・阪神のOB戦で、びっくりした人も多かったかもしれないな。俺が車椅子姿で一塁側ベンチから現われたものだから、関係各位に大きな動揺を与えたらしい。あの時は少し足腰が弱っていたためだったが、今は好きな肉をモリモリ食べて、そして大好きだったタバコも止めてきちんと節制しているから心配ご無用だ。でも、色々とありがとうと言いたい。

 70代後半の年齢にさしかかり、同世代の訃報を聞くと何とも言えない気持ちに駆られる。だからこそ、強い意志を持って人生を過ごしていきたいとも思っている。今回は野球界に言い残すことがないように、今の想いを伝えようと思う。

 今の日本のプロ野球を見ると、若い才能のあるピッチャーや野手たちがこぞってポスティングやFAの権利を行使してメジャーへ移籍している。大いに結構なことだ。時代の趨勢を鑑みても「行くな」と言うのは無理だし、行くんだったら「頑張ってこいよ」と後押ししてやりたい。

 だって俺は応援されない立場でメジャーへ挑戦した身だったから。ちょうど40年前、西武を1年で退団した俺は新天地を求めてメジャーに挑戦した。今とは違ってメジャーなんて言ったらどうかしたのかと疑われるほど、アメリカと日本の間にはとてつもなく大きな壁があった。

 そんな経緯もあって、誰からも「頑張ってこいよ」と声をかけられず、寂しい思いをした記憶がある。行くからには頑張ってこいよ、怪我をするなよ、期待してるぞという声は励みになる。周りの期待もあるとは思うが、俺がそうだったように、日本人としてのプライドを大切にしてもらいたい。

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏に「自民入りもあり得るか」聞いた
【国民民主・公認取り消しの余波】無所属・山尾志桜里氏 自民党の“後追い公認”めぐる記者の直撃に「アプローチはない。応援に来てほしいくらい」
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
遠野なぎこさん(享年45)、3度の離婚を経て苦悩していた“パートナー探し”…それでも出会った「“ママ”でいられる存在」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン