来日したインドネシアのデビ・スカルノ大統領夫人(右)。1966年1月(時事通信フォト)

来日したインドネシアのデビ・スカルノ大統領夫人(右)。1966年1月(時事通信フォト)

 確かに“犬猫の食用禁止”はインパクトがあり、キャッチーな政策だ。だがいったいどれだけの日本人にその実感があるのだろう。デヴィ夫人は記者会見で、国内の一部のレストランで犬肉を提供していることを政府が国会答弁で認めているといい、「日本で犬食が行われている現実を日本人は知らない。家族ともいえる犬を食べる習慣をなくしていきたい」とも述べていた。言いたいことはわかる。だが戦時中ならまだしも、今の日本に「犬を食べる習慣」があるといえるだろうか。

 頭では認識できるが、感情では理解できないというのが、12平和党の第一の政策への感想だ。その理由は「単純接触効果」が低いからだろう。人には見慣れているものや聞き慣れているもの、何度も提示されているものほど、認知しやすいという傾向があり、情報をどれだけ簡単に認識し理解できるかによって、認知度が上がり好感や親しみを持つといわれる。さらに色や形の組み合わせ、文字のスタイルやフォント、配置などのデザインや音楽などによっても、認知のしやすさ、容易さが変化する。ワンニャンという政党の名前は、犬猫愛護というワンイシュー(単一論点)の政党を強調し、ロゴマークのデザインもわかりやすく認知容認性は高いと思うが、主要政策が実感に乏しく単純接触性効果がないため心に刺さってこないのだ。

 数十年にわたり動物愛護活動を行っている知人らに聞いてみたが、犬食への認知度は低く「犬食禁止と言われてもピンとこない」「動物虐待とか多頭飼育崩壊の問題が先」「劣悪な環境の保護団体や保護をうたい文句に寄付を集めるだけの団体や保護猫や保護犬ではないのに保護といって多額の譲渡費用を取ろうとする団体など規制が優先」などの意見が出た。メディアで報じられた夫人の毛皮好きに「毛皮を着て動物愛護を訴えられてもねぇ」と反応は冷ややかだが、動物愛護へ一石を投じてくれるのは歓迎だと口を揃える。

 2024年7月の東京都知事選で石丸伸二氏の善戦をサポートした”選挙の神様”藤川氏を選対委員長に迎えた7月の衆院選挙、実感と共感の乏しい主要政策を掲げる12平和党はどこまで躍進できるのだろうか。

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