サントリーの新CMに出演する女優の永野芽郁（左）と杉咲花（右）
ここ最近、お酒のCMに20代中盤の若手女優の出演ラッシュが続いている。いずれも大手メーカーばかりで、彼女たちが多くの消費者に訴求力のある人気者であることが起用の理由の1つとみられるが、それだけではない事情があるようだ。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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13日、永野芽郁さん（25歳）がサントリー「トリス」ブランドの新CM発表会に登場し、CMヒロインに選ばれたことが明かされました。
さらに18日、杉咲花さん（27歳）がサントリー「翠（SUI）」の新CM発表会に登場し、新メッセンジャーへの就任が発表されました。
ともにお酒のCMは初出演。2人ともお酒の印象が薄いのか、ネット上には「意外」という声もあがっていました。
振り返ると、昨年は橋本環奈さん（26歳）と福原遥さん（26歳）、一昨年は広瀬すずさん（26歳）、一昨々年は今田美桜さん（27歳）がお酒のCMに初出演。なぜ「20代中盤の女優が初めてお酒のCMに起用される」という流れが続いているのでしょうか。
朝ドラ女優「25歳の初出演」が続出
まず20代中盤の女優が初めてお酒のCMに起用されるケースが続いているのは、「25歳が出演解禁の年齢」だから。
2016年に酒類関連9団体による協議会によって「25歳未満をモデルに使用しない」「25歳以上であっても25歳未満に見えるような表現は行わない」などの自主基準を決定。未成年者飲酒を防止するために「誰が見ても成人」という25歳以上を起用しています。
実際、新CM発表会で司会者から初出演であることを指摘された永野さんは、「そうなんです。25歳になりまして、初めてお酒のCMに出演させていただきました」とコメントしていました。
また、昨年の橋本環奈さんと福原遥さん、一昨年の広瀬すずさん、一昨々年の今田美桜さんはいずれも25歳になったタイミングでのCM初出演でした。その他でも現在、乃木坂46がアサヒビール「クリアアサヒ」のCMに出演していますが、そのメンバーは全員25歳以上の“おとな選抜”で構成されています。
お酒のCMは年齢だけでなく、過度の飲酒につながる表現や、喉元を通る「ゴクゴク」などの効果音を避けるなどの自主規制もあり、いかに配慮して放送されているかがわかるでしょう。
もちろん20代中盤の女優たちが選ばれているのは、それ以外にも理由があります。
最大の理由は「最も幅広い世代にリーチできるタレント」だから。連ドラ主演級の20代中盤女優は同世代の20代はもちろん30～60代まで、しかも性別不問で知名度があります。
ちなみに前述した永野芽郁さん、杉咲花さん、橋本環奈さん、福原遥さん、広瀬すずさん、今田美桜さん（今春スタートの『あんぱん』）は、すべて朝ドラ主演女優。毎日見ていたため親近感があり、バラエティタレントのような露出過多の感はなく、素の表情が見られるCMが貴重なものに見えやすいところがあります。
そしてもう1つ起用理由として大切なのは、「若者の酒離れを防ぐ」という役割。各社が若者をターゲットに入れた飲みやすい商品を手がけていますが、購入の可能性を高められるのが20代中盤の女優なのでしょう。彼女たちの中にはSNSのフォロワー数が多いインフルエンサーでもある人も多く、ブランドの顔としてのPRが期待できます。
