芸能

水谷豊が語る『傷だらけの天使』、萩原健一さんの“攻める芝居”、大きな影響を受けた岸田森さん、伝説の最終回で気づいたこと

『傷だらけの天使』共演者との思い出を振り返る

『傷だらけの天使』共演者との思い出を振り返る

 今なお伝説的なドラマとして語り継がれている『傷だらけの天使』(日本テレビ系・1974年10月~1975年3月)が放送されてから50年が経つ。小暮修(萩原健一)と乾亨(水谷豊)という探偵事務所で調査員として働く若者による“バディもの”であるこの作品。撮影の裏側では何が起きていたのか。『水谷豊自伝』(新潮社)共著者の作家・松田美智子氏が水谷豊に共演者との思い出や、伝説の最終回について聞いた。【全3回の第2回】

攻める芝居と受ける芝居

 水谷が本番中に動揺してしまったシーンがある。

「緑魔子さんが出演した回(第2話「悪女にトラック一杯の幸せを」)ですね。ショーケンさんと魔子さんがベッドで寝ていて、僕は少し離れた場所で、ヘッドフォンをつけて音楽を聞くふりをしているんだけど、魔子さんが僕を迎えに来るんですね。そのとき、彼女は全裸だったんですよ。それに動揺して、ライトに頭をぶつけたんです」

 第3話の「ヌードダンサーに愛の炎を」は浅草ロック座で撮影され、萩原と水谷の控室はストリッパーの楽屋だった。

「初日は、踊り子さんたちが裸で出入りするのを、二人とも見ないようにしてたんだけど、2日目になると、下ばかり向いているのも不自然だから、お疲れ様です、なんて声を掛けてね(笑)」

 萩原と水谷の芝居を見ると、回を重ねるうちに微妙に変化しているのが分かる。相手が水谷だからだろう、萩原が伸び伸びと演じていることが伝わってくるのだ。

「攻める芝居と受ける芝居がありますが、僕は受けるのも好きだったんですよ。ショーケンさんが攻めてきたら、どう受けて返すか。そのやりとりがうまく行くと、見ている側にとっても面白い芝居になります」

 この番組で水谷は「人生で大きな影響を受けた」という人物に出会っている。「綾部情報社」の社長・綾部貴子(岸田今日子)の片腕・辰巳五郎を演じた岸田森である。

「初対面の森さんの印象は顔が怖い人(笑)。森さんは人見知りだし、あまり近づかないほうがいいかなと思っていたんだけど、共演するうちに、二人でいるのが楽しくて仕方なくなったんです。『どんな役を演っても水谷豊でいればいい。地で演っていると思われるのが最高なんだ』と教えてくれたのも森さんです」

 もう一人、岸田今日子は水谷が芝居の最中に初めてプレッシャーを感じた相手である。

 水谷は現在、テレビ朝日の長寿番組『相棒』で杉下右京警部を演じているが、右京の役は長台詞が多く、そのあとに台詞がある共演者はかなり緊張するという。

「僕はそれを今日子さんとの芝居で経験したんです。今日子さんが長台詞を喋ったあとで僕がNGを出してはいけないと思ったら、物凄く緊張したんですよ。『相棒』の共演者もみんな同じ思いをしていたんですね」

関連キーワード

関連記事

トピックス

日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《セレブな5児の母・宮崎麗果が1.5億円脱税》「結婚記念日にフェラーリ納車」のインスタ投稿がこっそり削除…「ありのままを発信する責任がある」語っていた“SNSとの向き合い方”
NEWSポストセブン
出席予定だったイベントを次々とキャンセルしている米倉涼子(時事通信フォト)
《米倉涼子が“ガサ入れ”後の沈黙を破る》更新したファンクラブのインスタに“復帰”見込まれる「メッセージ」と「画像」
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン
峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト