精米工場で袋から出される政府備蓄米(時事通信フォト)

精米工場で袋から出される政府備蓄米(時事通信フォト)

 そもそもずっと「コメの価格は安定する」「備蓄米など出さなくても」「備蓄米を出せば安定する」と言い続けて何ひとつその通りになっていない原因は政府そのものではないか。なのにいまさら消費者にも責任とは。

都合が悪くなるとすぐ「日本人」と全体責任に転嫁するいつものやり口、昨年から秋には落ち着く、年明けには落ち着く、年度明けには落ち着くと言ってこれ、消費者は買い占めてなどいないしそもそも最終消費者が買い占めたところでそこまでの影響があるというエビデンスは何なのか。「変な風評に惑わされることなく」と言われてもこれでは政府見解、とくに農水大臣の会見のほうがよほど「変な風評」ではないか。

 別のスーパーで話を聞いた。東京都西部の大型スーパー、お米売り場はさみしい限り。

「5000円超えるとちょっと考えちゃいますね。だから4000円代のコメを買います。これは美味しかった」

 妻と二人暮らしの60代男性が買い求めたのはやはり馴染みのない産地のコメ。ブランド名もあまり聞かない銘柄だが「あんまり気にしない」とのこと。

 江藤農水大臣の一連の会見について話すと

「ひどいね、この辺には一般人が買い占めるほどコメなんかないよ」

 とのこと。他の各スーパーでも概ねそのような感想、中には「減反」「農協」「備蓄米の放出不備」と詳しい方々もいらっしゃった。「日本人が信じ過ぎたがゆえ」「消費者の方々も少し考えて」などと言ったところで、とうに政府の失策であることはバレている。

 昨日今日の話でなく、農家を犠牲にした長きにわたる利権と失策のツケが来たということも。

備蓄米放出がまったく機能しない

 備蓄米を入札できる限られた卸売業者に偏在した落札と流通、ようやく23日からの10万トンから卸売業者同士の売買が認められたが、ではこれまで「投機目的」「マネーゲーム」と自身の口でさかんに指摘していたはずの江藤農水大臣のエビデンスもまた何だったのか。

 昨年夏、「次の収穫前の端境期だから慌てる必要はない」「新米が出回る9月ごろには解消される」と農水大臣や一部専門家が盛んに喧伝していたが、結果としてオオカミ少年であった。SNSを中心にコメ不足とか米価の上昇なんてウソだ、陰謀だ、でっちあげと言い張っていた連中もコメについてはとても静かになった。ただし昨年コメ不足の9月解消を言ったのは江藤農水大臣でなく坂本哲志前農水大臣(自民党・熊本3区)なので誤解のないように。

 都内米穀店の60代店主は「それでもコメがないというほどではない」としながらもこう語る。

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