ライフ

《あっという間に拡散》「オスのマウスが肛門から出産」のフェイクニュースになぜ多くの人が騙されてしまったのか?3つの理由

フェイクニュース「オスのマウスが肛門から出産」が拡散(写真提供/イメージマート)

フェイクニュース「オスのマウスが肛門から出産」が拡散(写真提供/イメージマート)

 SNSの普及と共に、問題が指摘されることが増えたフェイクニュース。たわいもない内容なら信じるも信じないも好きにすればよいと思うかもしれないが、人がフェイクニュースを信じてしまう仕組みを悪用して、詐欺や社会の扇動を狙うものもある。臨床心理士の岡村美奈さんが、Xで拡散された「オスのマウスが肛門から出産に成功」というフェイクニュースを足がかりに、フェイクニュースを信じてしまう心理傾向について分析する。

 * * *
 X上に4月22日、「オスのマウスが肛門から出産に成功。革新的な生殖技術の進展」という記事が投稿された。タイトルからして興味をそそられるこの投稿は、短時間のうちに40万件もインプレッションがあり拡散。実はXで利用できる生成AI「Grok」で作られたフェイクニュースだった。

 タイトルを見た多くの人の脳裏に浮かんだのは“そんなことがあるのか?”という疑問か“そんなことがあるわけない!”という否定、”ここまできたのか!?”という驚きのどれかではないだろうか。この拡散を報じた「ITmediaNEWS」によると、「Xの投稿に対する反応などを見るに、ほとんどの読者がフェイクに気付いていない様子だ」とあり、驚きとともに信じた人が多かったようだ。落ち着いて考えれば、オスのマウスが、しかも肛門からとなると、フェイクとわかりそうなものだ。なぜ人々はこれを信じてしまったのだろうか。

 投稿者は「ツイッター速報」という5ちゃんねるの話題を自動投稿するアカウント。このアカウントに問題の書き込みが転載され投稿された。だがこの書き込みこそが生成AIで作成されたフェイク。一緒に投稿されていた画像は細胞が分裂し成長しているようにも見え、”革新的な生殖技術”という最先端の再生医療技術を連想させるのに十分なものだった。

 元の書き込みは同日の午後2時頃、「オスのマウスが肛門から出産に成功、革新的な生殖技術の進展 **2025年4月22日、上海発**」として書き込まれた。上海の海軍医科大学の研究チームが、オスのマウスが肛門から子を出産させることに成功したと発表。実験の概要と機序を解説するという真実味を匂わせる内容だけに、読んだことでさらに信じた人もいただろう。

 ここには人々が信じやすいキーワードが3つあった。まずは実験が”マウス”で行われたということ。これまでにもマウスに様々な臓器を移植したというニュースが話題になってきただけに、マウスならありえると思わせた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

協会との関係は続く?(時事通信フォト)
《協会とケンカ別れするわけにはいかない》退職した白鵬が名古屋場所で快進撃の元弟子・草野に連日ボイスメッセージを送ったワケ
週刊ポスト
「木下MAOクラブ」で体験レッスンで指導した浅田
村上佳菜子との確執報道はどこ吹く風…浅田真央がMAOリンクで見せた「満面の笑み」と「指導者としての手応え」 体験レッスンは子どもからも保護者からも大好評
NEWSポストセブン
石破首相と妻・佳子夫人(EPA=時事)
石破首相夫人の外交ファッションが“女子大生ワンピ”からアップデート 専門家は「華やかさ以前に“上品さ”と“TPOに合わせた格式”が必要」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
中村芝翫の実家で、「別れた」はずのAさんの「誕生日会」が今年も開催された
「夜更けまで嬌声が…」中村芝翫、「別れた」愛人Aさんと“実家で誕生日パーティー”を開催…三田寛子をハラハラさせる「またくっついた疑惑」の実情
NEWSポストセブン
ノックでも観客を沸かせた長嶋茂雄氏(写真/AFLO)
《巨人V9の真実》王貞治氏、広岡達朗氏、堀内恒夫氏ら元同僚が証言する“長嶋茂雄の勇姿”「チームの叱られ役だった」
週刊ポスト
現場となったマンホール
【埼玉マンホール転落事故】「どこに怒りを…」遺族の涙 八潮陥没事故を受けて国が自治体に緊急調査を要請、その点検作業中に発生 防護マスク・安全帯は使用せず
女性セブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《秘話》遠野なぎこさんの自宅に届いていた「たくさんのファンレター」元所属事務所の関係者はその光景に胸を痛め…45年の生涯を貫いた“信念”
週刊ポスト
政府備蓄米で作ったおにぎりを試食する江藤拓農林水産相(時事通信フォト)
《進次郎氏のほうが不評だった》江藤前農水相の地元で自民大敗の“本当の元凶”「小泉進次郎さんに比べたら、江藤さんの『コメ買ったことない』失言なんてかわいいもん」
週刊ポスト
川崎、阿部、浅井、小林
女子ゴルフ「トリプルボギー不倫」に重大新局面 浅井咲希がレギュラーツアーに今季初出場で懸念される“ニアミス” 前年優勝者・川崎春花の出場判断にも注目集まる
NEWSポストセブン
6年ぶりに須崎御用邸を訪問された天皇ご一家(2025年8月、静岡県・下田市。撮影/JMPA)
天皇皇后両陛下と愛子さま、爽やかコーデの23年 6年ぶりの須崎御用邸はブルー&ホワイトの装い ご静養先の駅でのお姿から愛子さまのご成長をたどる 
女性セブン
「最高の総理」ランキング1位に選ばれた吉田茂氏(時事通信フォト)
《戦後80年》政治家・官僚・評論家が選ぶ「最高の総理」「最低の総理」ランキング 圧倒的に評価が高かったのは吉田茂氏、2位は田中角栄氏
週刊ポスト
スーパー「ライフ」製品が回収の騒動に発展(左は「ライフ」ホームページより、みぎはSNSより)
《全店舗で販売中止》「カビだらけで絶句…」スーパー「ライフ」自社ブランドのレトルトご飯「開封動画」が物議、本社が回答「念のため当該商品の販売を中止し、撤去いたしました」
NEWSポストセブン