2018年、香港大学で開かれた「第2回ヒトゲノム編集国際サミット」で賀建奎・南方科技大元副教授が世界初のゲノム編集した赤ちゃんと誕生させたと発表した。のちに違法医療行為の罪で罰金300万元と懲役3年の実刑判決がくだった。2022年に釈放(AFP=時事)
2つ目は革新的な生殖技術として使われた“3Dプリント技術”という言葉。再生医療の分野で研究が進む3Dバイオプリンティング技術を想像させたのだろう。この技術は、バイオ3Dプリンターを使って細胞から様々な組織や臓器を作り、患者に移植を行えるようにすることを目的とし、すでに細胞製の人工血管や、ヒト3Dミニ肝臓などが作られている。そんなニュースを耳にしたことがあれば、マウスの人工子宮を作り、オスに移植するのも可能と思うだろう。
3つ目は研究に成功したのが”上海の海軍医科大学”ということ。日本で成功というニュースならば疑問に感じた人もいただろう。だが中国という国では、コロナ禍で新型コロナウィルスの発生源が、中国武漢の研究所から流出という説が流れるなど、科学技術の研究で何が行われているかわからないというイメージが漂う。実刑判決を受けたが、2018年、遺伝子を操作するゲノム編集で遺伝情報を書き換えた赤ちゃんを3人誕生させたと主張する研究者が現れたのも中国だ。
5ちゃんねるの書き込み末尾にはGrokの結果を共有するリンクがあり、クリックするとこの記事を「架空のニュース」と表示しているページに飛ぶ。「ITmediaNEWS」の記事によると、それでも150件を超える返信のほとんどが、生成AIに言及することなく「その内容を素直に受け止めた上での反応だった」という。
さらにフェイクニュースに騙されたり、踊らされたりする人たちの心理にみられるある1つの特徴がみえてくる。新しい発見や意外な情報、人に知られていない情報などを見つけたと思い、思わず誰かに話したくなる、教えたくなるという傾向だ。そういう情報を疑うことなく信じてしまうと、それに合わない情報はスルーしてしまう。情報に対して疑いを持たないため、自信をもって拡散してしまう。今回のフェイクニュースを信じた人はこれにあたるだろう。
他にもフェイクニュースに騙されやすい場合の心理傾向には、人の願望や希望を悪用するものがある。SNS上の広告で簡単に金が稼げる、投資の配当が高いなどで人の欲望を煽る詐欺や、結婚願望を利用して金を騙し取るロマンス詐欺などに騙される場合がそうだ。
正義感に訴えかけてくるものを信じやすいという傾向もある。わかりやすい例は昨年、斎藤元彦知事が再選した兵庫県知事選だ。告発文書を巡り県議会から不信任を突き付けられ失職した知事に、NHKから国民を守る党党首の立花孝志氏が擁護する持論を展開、SNSなどで事実無根の内容を発信するなどし陰謀論が渦巻いた。斎藤知事に投票した人の中には、陰謀論を信じ込みそれが正義と信じた人もいたのだろう。
SNSの情報には生成AIの悪用によるフェイクが混入しやすく、その危険性が指摘され始めた。騙されないために、これは本当かとちょっとでも思ったら、頭から信用せずに懐疑的思考を働かせることも必要だ。
