ジムトレーナーの制服が勝手に着用されていた(写真提供/イメージマート)

ジムトレーナーの制服が勝手に着用されていた(写真提供/イメージマート)

 しかし、男性が監督業を引退して以降、特に正規で販売されるアダルト作品の売り上げが落ちて業界全体が下降気味になると、色々な点で歯止めがきかなくなっているという。違法な撮影や販売をする業者がのさばるだけでなく、正規の業者にも、不適切な撮影手法に手をだす不届き者が増えたのだと嘆く。

「売れなくて金がないので、大手と言われる企業でもスタジオ代やロケ代をケチって、許可を取らずに公有地や私有地で勝手に撮影して問題になることが増えました。最近では、公立公園の門前でアダルト作品のパッケージを勝手に撮影して問題になっていましたが、あれも業界大手。大手の作品の中にも”なりすまし”っぽいものは散見されます」(元アダルトビデオ監督の男性)

 元監督が関わってきた分野の映像作品も、多くの人が親しんでいるドラマや映画のように見る人へファンタジーを届けるものと言えるだろう。だから、出演する女性に、その人自身の現実とは異なる職業や特徴を演じることそのものは許容範囲だと考えられる。だが、本物だと錯覚させることを狙っているのだとしたら悪質だし、「なりすまし」として非難される類いのものだ。もっとも、この手法が引き起こす被害を考えると「なりすまし」という言葉での形容は、響きが軽すぎるかもしれない。前出、X大学職員はその甚大な影響についてこう訴える。

「本学には女子学生も多く、親御さんは大変心配されているし、本学のイメージが毀損され、受験者や入学者数にも大いに影響があると考えます。ただし、対応できる策がほとんどない、というのも現実でした」(X大学職員)

 当該の映像は、撮影も編集も、その販売方法も、倫理的にも許容しづらく法的に逸脱した部分がある手法を用いて制作されており、平気で違法なことをしでかす人たちによって世界中にばら撒かれるように販売されている。こういったビジネス展開は組織的に行わないと難しいものなので、「国内の反社会的勢力」や「海外の犯罪グループ」の関与も大いに疑われる。そのためX大学としても弁護士や警察と相談したが、「ことが大きくならないように」を最優先に考えると、問題を公に認めることそのものが解決よりも先に悪評を広げることになりかねないという現実に直面させられた。その結果、特にこれといった対応をすることもなく、静観することになった。そう話すと、X大学職員の男性は静かに唇を噛み締めた。

無関係の女性が制服を着用

 何の関係もない一般市民の生活を侵食する、裏側のビジネスに関わっているのは、いったいどんな人たちなのか。

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