教皇の葬儀の様子(Getty Images)
2018年8月、イタリア出身の元駐米バチカン大使、カルロ・ビガノ大司教が、教皇フランシスコを糾弾する文書を公表し、辞任を要求した。
「アメリカの高位聖職者が若い修道院生に虐待を行なってきた疑いがあることを教皇就任の2013年に面会して報告したのに、18年7月に辞職させるまで何もしなかった」というのがビガノ氏の訴えだ。
当時、同性愛や離婚をめぐり進歩的でリベラルな教皇フランシスコに対して保守派の間で不満が鬱積しており、ビガノ氏はその中心人物の1人だった。
その後もボルテージを上げたビガノ氏は同性愛カップルへの祝福を容認する2023年12月のバチカンの決定に、「教皇フランシスコは偽りの羊飼い、サタンのしもべ」と口汚く口撃するに至り、教皇庁はとうとう昨年7月、ビガノ氏を破門した。
進歩派・リベラル派と保守派の対立図式は映画では、保守派のイタリア人枢機卿が教皇となることを阻止するための“多数派工作”などで描かれた。両陣営が対峙する構図は今回の教皇選挙にも通ずる。
(後編に続く)
※週刊ポスト2025年5月23日号
