福森くんの隣にいるのは、アパレルブランド「RESOUND CLOTHIN」のデザイナー兼代表の梅本剛史さん。元LDHのデザイナーという肩書きも持つ

福森さんの隣にいるのは、アパレルブランド「RESOUND CLOTHIN」のデザイナー兼代表の梅本剛史さん。元LDHのデザイナーという肩書きも持つ(撮影/加藤慶)

闘病中に結婚した妻は「私が治す」

 実は闘病するなかで、福森さんは結婚もした。

 1歳年下の妻、聖欄さんとは2023年に友人の紹介で知り合った。すぐに意気投合して交際に発展するが、同年12月のCT検査で胃の悪性腫瘍が再発したことを知る。腫瘍をすべて摘出した1回目の手術から2年後のことだった。2回目の手術となり、年末年始も病院で過ごした。

「再発を知ると妻は東京への転勤も断って、『私が支えるから』と私に告げました。入院中、毎日のように病院に来てくれて、会えない時は手紙だけ置いて仕事に行ったりだとか、夜は21時に消灯なんですけど、妻は仕事を終えると病院の下まで来てくれて、路上から見上げる彼女を5階の窓ごしに見ながら電話してました」

 さらに、こうも続ける。

「知り合った当初から、病気のことをすべて打ち明けていました。それが逆にお互いに包み隠さずに何でも話せる関係になったみたいで、病気があったからこそ、お互いをもっと知るようにもなったとも言えます」

 2024年7月にプロポーズ。9月から同棲を始めると約束したが、そのタイミングでリンパと肝臓への転移が見つかり、がんのステージは4となった。

「転移が見つかって再入院となり、妻に謝りました。でも、謝ったことを咎められて、『何を言ってんの? 私が治すから大丈夫』と励まされたんです。10月にリンパを摘出して手術は成功しました。

 その後、12月7日に籍を入れる予定でしたが、39度の熱が2週間続いて入籍日の数日前に再び入院してしまって……。彼女はこの時も2週間、毎日手紙をくれたんです」

 そうしたなか福森は担当医に許可を取り、聖欄さんとふたりで婚姻届を役所で提出したのだった。実は昨年9月、がんの転移が判明した際、福森さんは何度か心が折れそうになったとも明かす。

「一生ぶんぐらいこの1ヶ月で妻と泣きました。お互いの気持ちがぶつかり合って、自分たちが抱えている心をすべてさらけ出した感じです。転移って響きがよくないじゃないですか。それでもやっぱり、うん……。

 前向きに生きないといけないと強く思いましたし、今のこの環境が当たり前じゃないとも思います。そのぐらい妻だけじゃなく、周りの人に励まされて力をもらってます」

 6月15日のオリックス対巨人戦(京セラドーム)で福森さんは始球式に登場する。大阪桐蔭高校野球部OBで元阪神の西岡剛さん(40)や岩田稔さん(41)らが応援に駆けつけ、同校のブラスバンド部も演奏で福森さんにエールを送る予定だ。支援の輪が大きく広がっている。

◆取材/文:加藤慶

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