イスラエルとイランの紛争には最新兵器も(写真=AP/AFLO)
イスラエルとイランの紛争は、米国の参戦に発展。秘密裏に核施設への軍事作戦が実行され、短期間での「停戦合意」に至ったように見えた。しかし、トランプ大統領による停戦発表後もイスラエルが攻撃をするなど、中東情勢は今なお緊迫した状況だ。次なる有事に向けて秘かに進められる「トランプ軍事作戦」──それを可能とするのは、驚異的な速さで進化する最新兵器の数々だった。【全3回の第1回】
数か月にわたり極秘裏に進められた「ミッドナイト・ハンマー」作戦
米軍は「ミッドナイト・ハンマー(深夜の鉄槌)」と名付けた作戦を実行し、イランの核施設を空爆。世界に混乱をもたらしたイスラエルとイランの衝突に超大国が介入した。
空爆2日後の日本時間6月24日には、トランプ大統領がSNSで「24時間が経ったところで、世界に戦争の終結が讃えられることになるだろう」と勝利を予告。イスラエルのネタニヤフ首相も「イランの核とミサイルの脅威を取り除く目的は達成した」として停戦合意したことを公にした。
しかし、停戦合意後もイランの停戦違反を理由にイスラエルが攻撃を始めるなど、中東には依然として火種がくすぶる。
軍事ジャーナリストの井上和彦氏は「やられっぱなしだと国民が許さないので、国内向けのアピールとして競い合いが続く。これが報復の連鎖となり、次なる紛争に拡大することもあり得ます。停戦は事実だが、それで戦闘が終わると考えるのは拙速です。そうした流れは米国も承知しており、今後の紛争拡大にどう対応するかのケーススタディは多様に行なっています」と指摘する。
最新の兵器や軍事技術が次々と投入された今回の攻撃計画も、数か月前から極秘裏に進められてきたものだとされる。
ミッドナイト・ハンマー作戦では、地下61メートルまで貫通する重量13トンの「バンカーバスター」(GBU-57)が初めて実戦投入された。米国本土の基地から飛び立ったB2ステルス爆撃機が合計14発を投下した。